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日本スポーツ界で根強い“勝利至上主義” 育成年代で後を絶たない理不尽な指導の根底

ドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを持ち、20年以上にわたって現地で育成年代の選手を指導してきた中野吉之伴氏が、「THE ANSWER」に寄稿する不定期連載「サッカーと子育て論」。ドイツで子供たちを日々指導するからこそ見える、日本のスポーツ文化や育成年代の環境、子育てに対する考え方の違いなどについて迫る。今回は、日本のスポーツ界における「勝利至上主義」について、ドイツから見て感じる思いを綴った。

日本の育成年代における過度な勝利至上主義に、ドイツ在住の筆者は警鐘を鳴らしている(画像はイメージです)【写真:Getty Images】
日本の育成年代における過度な勝利至上主義に、ドイツ在住の筆者は警鐘を鳴らしている(画像はイメージです)【写真:Getty Images】

連載「ドイツ在住日本人コーチのサッカーと子育て論」、後を絶たない暴力・暴言事件

 ドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを持ち、20年以上にわたって現地で育成年代の選手を指導してきた中野吉之伴氏が、「THE ANSWER」に寄稿する不定期連載「サッカーと子育て論」。ドイツで子供たちを日々指導するからこそ見える、日本のスポーツ文化や育成年代の環境、子育てに対する考え方の違いなどについて迫る。今回は、日本のスポーツ界における「勝利至上主義」について、ドイツから見て感じる思いを綴った。

 ◇ ◇ ◇

 育成現場ではよく《勝利至上主義》の是非を問うやり取りが行われる。

《勝利至上主義》というのを、勝つことで自信をつける、勝つことで次のステージでさらに高いレベルの経験を積むことができる、勝とうと取り組むことで本気で自分と向き合うことができる――といったところを重要視する考え方と捉えてみる。

 それだけ聞くと、「なるほど、確かにそれは大切だ」と思うことはできる。ただ実際にそのためにどのようなことが行われているかとなると、眉をひそめざるを得ない行為が後を絶たない。ここ最近でも様々なスポーツ界で指導者による暴言、暴力事件が起こっている。

「勝つために」「勝利を目指すために」という言葉を隠れ蓑に、選手を極端なまでにコントロール下に置こうとする指導者のあり方を正しいと言えるだろうか?

 そもそも「勝つことが大事」というのであれば、どうすれば勝てる可能性を高めることができるかを、これでもかというほど研究するのが必要不可欠なはず。そう口にしている人、そう思っている人はどこまでそのための努力をしているのだろうか?

 なぜ、「選手を不条理に、理不尽に追い込んでいけばいくほど、選手のポテンシャルは引き出されるどころか、停滞に追い込んでしまう。狭い檻の中に閉じ込められたら、それ以上の高さで飛ぶこともできない。フィジカル的、メンタル的に適切な休息を取らないと成長にはつながらない」という、スポーツ生理学でも、臨床心理学でもちょっと勉強したら最初に学ぶはずのことが分かっていないのだろう?

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中野 吉之伴

1977年生まれ。ドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。ドイツでの指導歴は20年以上。SCフライブルクU-15チームで研鑽を積み、現在は元ブンデスリーガクラブであるフライブルガーFCのU12監督と地元町クラブのSVホッホドルフU19監督を兼任する。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に『サッカー年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)、『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)がある。WEBマガジン「フッスバルラボ」主筆・運営。

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