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弁護士に聞くスポーツのハラスメント問題 パワハラが起きる理由とセクハラへの対処法

セクハラを受けたときは、勇気を出して相談することがなによりも大切だと堀口氏は力説する【写真:保田敬介】
セクハラを受けたときは、勇気を出して相談することがなによりも大切だと堀口氏は力説する【写真:保田敬介】

年長者の場合、セクハラの通報先を把握しておく

 被害者が高校生以上の場合は、被害者はそれがセクハラだと認識していることがほとんどで、被害者が保護者に相談し、保護者から弁護士に依頼がくるケースが多いという。年少者と異なり、本人に話を聞くが、被害者が女性の場合はスポーツ法に詳しい女性の弁護士に担当してもらうとよいのではと堀口氏。

「年長者の場合も多くは法廷で慰謝料を争うのではなく、指導から外れてもらうことを求められます。被害者が大学生であれば、外部の弁護士に相談する以外に、ほとんどの大学に設置されているセクハラ・パワハラ相談窓口を利用することもできます。窓口の向こうでは弁護士を入れた調査委員会がつくられ、裁判所のような役割を果たし、裁定が行われます」

 セクハラを受けたときは、勇気を出して相談することがなによりも大切だと堀口氏は力説する。「チームの和を乱してはいけない」「自分にはここしかない」と“閉じた”思考に陥ることは、セクハラを傍観、容認する環境につながってしまう。また誰にも相談できないと思い込み、大きな精神的ダメージを負うこともある。閉じた世界で悩むのではなく、セクハラがあったらしかるべき外部の通報機関に報告すると心掛けることが、問題解決への道筋をつくる。

「大学でもセクハラ防止の整備はされています。入学時のガイダンスでセクハラ・パワハラ相談窓口の説明がされているはずです。いざというときのために、自分の大学の相談窓口がどこにあるか、普段から把握しておくとよいでしょう」

 パワハラもセクハラも、それが生まれる背景には「閉鎖的な環境」があるようだ。勝ちたい、勝たせたいという強い思いは、ともすれば指導者と選手の視野を狭くしてしまう。指導において「選手のためになるのか」という問いの精度を上げるには、常に客観的な視点が必要だろう。勝利への力強い道のりは、指導者と選手だけという閉じた世界ではなく、両者を取り囲むさまざまな人たちが支えていることを忘れてはいけない。

スポーツにおける暴力・ハラスメント等相談窓口一覧はこちら>>
https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop10/list/1412106.htm

■堀口 雅則 / 東京21法律事務所 弁護士

 1979年生まれ、神奈川県出身。海城高等学校を卒業後、筑波大学社会学類に進学。在学中は体育会合気道部に所属するかたわら、学生会の議長としても活躍。卒業後は首都大学東京法科大学院に進学。司法試験合格後は東京21法律事務所に入所し、スポーツ弁護士の草分けである長嶋憲一弁護士の下で経験を積む。今年で10年目を迎える。現在、日本バスケットボール選手会、日本ラグビーフットボール選手会の顧問弁護士として主にスポーツ法務の分野で活躍中。最近はコロナ禍のため、自宅で筋トレに励む。

(記事提供 TORCH)
https://torch-sports.jp/

(はたけ あゆみ / Ayumi Hatake)

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