部活バスケより「個人の判断」を重視 Bリーグ川崎ユースが追求する、自立した次世代選手の育成
バスケットボールBリーグの川崎ブレイブサンダースは、前身の東芝時代の栄光を受け継ぐ国内屈指の強豪クラブ。熱狂的なファンがアリーナをブレイブレッドに染め上げ、チームは毎シーズン優勝争いを展開している。そんな名門のリアルな姿に、選手のインタビューやコート内外のストーリーで迫る連載。今回は少し視点を変え、クラブの持続的な発展に不可欠な下部組織の充実に焦点を当てる。Bリーグ全体でも力を入れている次世代選手の育成だが、川崎は確固たるビジョンを掲げて運営しているクラブの1つだ。前編ではアカデミーダイレクターをはじめとした育成スタッフを直撃し、指導現場の現状やチームとして追求する理想の選手像について話を聞いた。(取材・文=青木 美帆)
連載「川崎ブレイブサンダースNOW」第4回、アカデミースタッフ&選手インタビュー前編
バスケットボールBリーグの川崎ブレイブサンダースは、前身の東芝時代の栄光を受け継ぐ国内屈指の強豪クラブ。熱狂的なファンがアリーナをブレイブレッドに染め上げ、チームは毎シーズン優勝争いを展開している。そんな名門のリアルな姿に、選手のインタビューやコート内外のストーリーで迫る連載。今回は少し視点を変え、クラブの持続的な発展に不可欠な下部組織の充実に焦点を当てる。Bリーグ全体でも力を入れている次世代選手の育成だが、川崎は確固たるビジョンを掲げて運営しているクラブの1つだ。前編ではアカデミーダイレクターをはじめとした育成スタッフを直撃し、指導現場の現状やチームとして追求する理想の選手像について話を聞いた。(取材・文=青木 美帆)
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プロバスケットボールリーグのBリーグは2018-19シーズンより、クラブライセンスの取得条件の1つに、ユースチームの所有を盛り込んだ。2024年現在はB3までを含め48クラブがU15チームを、35クラブがU18チームを所有。2022-23シーズンにはユースからトップチームへのコールアップが可能となる「ユース育成特別枠」の適用も始まり、Bリーグはユースまで含めた組織と捉えるべきものになっている。
川崎ブレイブサンダースの下部組織は、2018年4月、男子U15チームの発足からスタートした。2023年度は男子3カテゴリー(U12、U15、U18)、女子1カテゴリー(U15)で106人の選手が活動している。
全国各地のユースチームは多様な個性を持っている。レバンガ北海道や福島ファイヤーボンズのU18チームは高校と提携。横浜ビー・コルセアーズや琉球ゴールデンキングスはインターナショナルスクールやアメリカンスクールにも門戸を開き、名古屋ダイヤモンドドルフィンズはトップチームと同じ練習場で活動できる。
そのなかで川崎ユースが特徴的なのは、トップチームにまで至る一気通貫システムの徹底だろう。立ち上げ時からユースに関わり、現在はアカデミー(ユースチームとスクールを含めた下部組織の総称)のカルチャーづくりを担当する岩﨑淳アカデミーダイレクター(AD)は、「スクール、U12、U15、U18、そしてトップと上のカテゴリーに進んでいく上で、プレーやマインドの核となるものが途切れないようにすることは大切にしています」と話す。
川崎では、トップチームの北卓也ゼネラルマネージャー(GM)とユース首脳陣の間で週1回ミーティングを実施し、双方の現状把握と情報共有を行っている。北GMから提供されるトップチームの様々な情報――ポジティブなものはもちろん、ネガティブなものも――は、各年代に応じて噛み砕いて共有する仕組みができている。
「U18やU15だったら『トッププレーヤーを目指すなら、こういう意識まで備える必要がある』といったような形。トップが使っている戦術をユースで使うこともあります」と岩﨑AD。これは4歳から小学6年生までを対象とするスクールのコーチにまで下ろされているという。
体作りや傷害予防といったコンディショニング要素についても、トップチームのスタッフによる指導が入り、トップチームのオフ期間にはコーチ陣も試合映像の分析や指導に入る。長期休暇はユース所属選手がトップチームの練習を見学したり、ワークアウトに参加することもある。ここまでトップチームのスタッフが多く関わり、未就学児カテゴリーにまでトップチームと連携しているユースはあまり多くないのではないかというのが岩﨑ADの見解だ。