監督室のドアは「いつも全開」 慶応との差に危機感、早稲田率いた元Jリーガーの改革
近年の日本サッカー界では、筑波大出身の三笘薫(ブライトン)をはじめ大学経由でプロ入りする選手の活躍が目立っている。様々な指導者が独自の哲学によってチームを指揮するなか、昨年11月に退任するまで大学サッカーの名門・早稲田大を5年間指揮してきたのが、現役時代に湘南ベルマーレや横浜F・マリノスなどでプレーした外池大亮氏だ。就任以来、伝統のスタイルに囚われず、柔軟な発想によるチーム運営を続け、何人ものJリーガーを育ててきた。異色のキャリアを歩む外池氏の指導論に迫るインタビュー連載。今回は現役引退後、約10年の歳月を経て母校で指導者キャリアをスタートさせるに至った経緯について振り返っている。(取材・文=加部 究)
外池大亮「早稲田の伝統に挑んだ5年間」第2回、本業の番組制作から始まった監督就任の道
近年の日本サッカー界では、筑波大出身の三笘薫(ブライトン)をはじめ大学経由でプロ入りする選手の活躍が目立っている。様々な指導者が独自の哲学によってチームを指揮するなか、昨年11月に退任するまで大学サッカーの名門・早稲田大を5年間指揮してきたのが、現役時代に湘南ベルマーレや横浜F・マリノスなどでプレーした外池大亮氏だ。就任以来、伝統のスタイルに囚われず、柔軟な発想によるチーム運営を続け、何人ものJリーガーを育ててきた。異色のキャリアを歩む外池氏の指導論に迫るインタビュー連載。今回は現役引退後、約10年の歳月を経て母校で指導者キャリアをスタートさせるに至った経緯について振り返っている。(取材・文=加部 究)
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Jリーガーとして10年間活躍した外池大亮は、33歳で引退すると異質なセカンドキャリアを歩んできた。指導者として同じ畑に留まるのではなく、まず大手広告代理店の電通で5年間営業を務め、次はスカパー!に転職して取材する側も経験した。早稲田大学ア式蹴球部監督という曲折も、実は本業の番組制作から派生した。
「スカパーでは直談判をして『Jリーグ推進部』に籍を置かせて頂いたのですが、入社して4年後に放映権がDAZNに移ります。しかしスカパーもサッカーとともに生きていこうとの方針を確認し、取り敢えず早慶両大学の取材を始めました。すると慶応の活動は面白いのに、どうも早稲田はつまらないという対比が見えてきたんです」
慶応大学の活動を「面白い」と感じたのは、学生たちがスポンサー集め、大会の開催、フットサル部の創設、OB会と触れ合う機会を設けるなど、主体的な活動を通して社会との接点を生み出しているところだった。
「それに対し早稲田は、良くも悪くも伝統と歴史を継承しているだけで、サッカーのヒエラルキーの中にチームが落とし込まれている感じでした。つまり部内の評価が競技力で決まっていく。もちろん人間性等で認められる部分もありましたが、あまりにバランスが競技力に偏り、ア式蹴球部そのものが村社会になってしまっている印象でした。サッカーが勝ち負けだけで終わっていて、深みや拡がりが出てこない。勝てば肯定、負ければ否定で、革新にチャレンジできていませんでした」