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「我がまま」を許し「ワガママ」は許さない 日本代表MFを育てた名伯楽の信念

木村和司(元横浜マリノス)、森島寛晃(元セレッソ大阪)、田坂和昭(元ベルマーレ平塚ほか)ら日本代表に名を連ねた名手を輩出してきたのが、浜本敏勝が1974年に創設し40年以上の歴史を刻んできた広島屈指の育成型クラブ、大河FCだ。その指導法はこれまで多くの人の共感を呼び、浜本の薫陶を受け、指導経験も積んできた畑喜美夫は、生徒主導で進める「ボトムアップ理論」の提唱者として、今ではサッカーに限らず各界が注目する育成リーダーとして活躍している。

【短期連載第2回】子供の発想力を豊かにする「魔法の言葉」――選手の自己表現を促す指導法

 木村和司(元横浜マリノス)、森島寛晃(元セレッソ大阪)、田坂和昭(元ベルマーレ平塚ほか)ら日本代表に名を連ねた名手を輩出してきたのが、浜本敏勝が1974年に創設し40年以上の歴史を刻んできた広島屈指の育成型クラブ、大河FCだ。その指導法はこれまで多くの人の共感を呼び、浜本の薫陶を受け、指導経験も積んできた畑喜美夫は、生徒主導で進める「ボトムアップ理論」の提唱者として、今ではサッカーに限らず各界が注目する育成リーダーとして活躍している。

 子供たちの個性を引き出し、発想力を磨く指導法の極意はどこにあるのだろうか。名伯楽・浜本の言葉から探っていく。

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「一生は長過ぎるから一所懸命。ワガママではなく“我がまま”に」――浜本敏勝(大河FC代表)

 浜本の得意なフレーズだ。プレーをしている間は、集中して思い切って自己表現をしていこうという趣旨である。

「これができないと試合に出られないぞ、じゃなくて、ワンプレーでいいから、それぞれを肯定的に認めてあげられるところを見つけてあげる。なにより子供たちが、自信と勇気を持ってチャレンジできる環境を整えてあげることが大切です。自己表現、自己主張が保証されない指導では、もっと上手くなりたい、もっと楽しくやりたいという自己啓発にはつながりませんからね」

 誉められないと、子供は自分の長所を認識できない。そしてそういう子は当然自信も持てない。

「指導者は選手の個性を見抜く。一方、選手は自分の個性を知る(気づく)のが仕事です。だから指導者は、子供たちが個性を活かすチャンスを与えなければいけない。つまり、それは試合に出すということです。声出しや球拾いをやっていても、上手くなるわけがないんですから」

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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