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為末大、五輪延期で考えるアスリートのピーキング「心にも体力がある、これを忘れずに」

いまだ破られぬ男子400メートルハードルの日本記録を持ち、コーチをつけず常に自身に向き合いスポーツを哲学してきた為末大氏に聞く、為末流「選手を幸せに導くプロセス考」。指導者が選手をサポートし導くために持っていてもらいたい目線、知識について語ってもらった。第1回は、世界からスポーツが消えた今、できることとは――。(取材日=2020年3月26日、取材・文=松葉 紀子 / スパイラルワークス、撮影=堀 浩一郎)

為末大氏が指導者が選手をサポートし導くために持っていてもらいたい目線、知識について語った【写真:堀浩一郎】
為末大氏が指導者が選手をサポートし導くために持っていてもらいたい目線、知識について語った【写真:堀浩一郎】

為末流「選手を幸せに導くプロセス考」第1回

 いまだ破られぬ男子400メートルハードルの日本記録を持ち、コーチをつけず常に自身に向き合いスポーツを哲学してきた為末大氏に聞く、為末流「選手を幸せに導くプロセス考」。指導者が選手をサポートし導くために持っていてもらいたい目線、知識について語ってもらった。第1回は、世界からスポーツが消えた今、できることとは――。(取材日=2020年3月26日、取材・文=松葉 紀子 / スパイラルワークス、撮影=堀 浩一郎)

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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、東京オリンピックが2021年の7月23日に延期されました。このような予測できない事態に直面したとき、アスリートは何を第一に考えるべきでしょうか。それは「事態が覆しうるものか、どうか」ということです。

 例えば、雨が降ったら試合に勝てない、とします。そこで「自分の努力で雨を降らせないようにできるのか」を考えます。普通に考えると、無理ですよね。できないのであれば、「受け入れるしかない」と考えます。至ってシンプルですが、私はそう考えます。今回の場合、「国際オリンピック委員会(IOC)の決断を覆すことは難しいので、受け入れるしかない」となるわけです。

 ただ気持ちの問題について言えば、アスリートにとっては気の毒な状況です。アスリートは、旬が短いです。例えば2020年7月に引退を決めて調整してきた選手にとっては、さらにもう1年となると厳しい。アスリートは、日程がたった2、3日変わっただけで順位が変わるレベルでピーキング(※)を行っています。

 今回、いろいろな人とオリンピック延期について話をしてきて、一般にはピーキングについての理解は浸透していないと感じています。

「こうすれば延期できるよね」と言われるたび、そうなんだけどそう簡単に延期に合わせられるものではないというのが本音。アスリート目線でいえば、今回の延期決定はそれほど大変なことなのです。

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