ドイツのサッカー人口は日本の約3倍 “強さ”を支える「毎週試合をプレーできる権利」
ドイツサッカーの強さを支えているのが、世界でも突出した競技人口密度である。総人口約8000万人に対して約1600万人がプレーしており、実に国民の20%以上の人たちが競技に携わっている。「サッカー王国」と呼ばれるブラジルは、おそらく登録せずに楽しんでいる人が無数にいるのだろうが、それにしても競技人口の比率は7%に満たない。一方ドイツより人口の多い日本は、わずかに3.8%(約480万人)だから、単純に太刀打ちしていくにはドイツの3倍効率を高める必要がある。
【“ドイツS級コーチ”鈴木良平の指導論|最終回】ドイツの競技人口は約1600万人、国民の20%以上が携わる
ドイツサッカーの強さを支えているのが、世界でも突出した競技人口密度である。総人口約8000万人に対して約1600万人がプレーしており、実に国民の20%以上の人たちが競技に携わっている。「サッカー王国」と呼ばれるブラジルは、おそらく登録せずに楽しんでいる人が無数にいるのだろうが、それにしても競技人口の比率は7%に満たない。一方ドイツより人口の多い日本は、わずかに3.8%(約480万人)だから、単純に太刀打ちしていくにはドイツの3倍効率を高める必要がある。
1980年代にブンデスリーガ1部に所属していたアルミニア・ビーレフェルトでヘッドコーチを務めた鈴木良平が、両国の相違を端的に説明してくれた。
「ドイツの競技者登録人数というのは、そのまま毎週必ずゲームでプレーしている選手の数ということになります。ドイツでは学校で体育の授業がありません。その代わり、どんな小さな街にもスポーツクラブとスタジアムがあります。行政がハードを提供し、民間が運営する仕組みが根づいているのです。
また大半のクラブには、トップ、Bチーム、さらには2歳区切りのユース以下のチームが存在します。例えばホッフェンハイムは人口3000人の街ですが、1000人程度を収容できるスタジアムがあります。もちろん1600万人の選手のレベルには凹凸がありますが、登録すれば全員が試合を楽しむ権利を担保されている。最近は女子の競技人口も100万人を超えたそうです」
だが日本では、競技者として登録しながら公式戦でプレーをしていない選手が溢れている。JFA(日本サッカー協会)は、選手たちから登録料を徴収しながら、彼らの基本的な権利を保証していない。
「さらにドイツの子供たちは、自分の意見を持つことに重きを置いて育てられてきます。小さい頃からコーチの言うことを、そのまま“ハイ、ハイ”と聞き入れる子は1人もいません。試合が始まれば味方同士でも要求し合い、過熱して喧嘩腰になることも日常茶飯事ですが、ほとんど翌日まで引きずるようなことはなく収束していきます」
疑問を放置せず議論を厭わないが、納得すれば冷静な判断を下す。そんな国民性もサッカーの強さを支えているのかもしれない。