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県初戦敗退校が19年連続女王を破った日 17人の“ハンド女子”の奇跡はこう生まれた

キャプテンの戦線離脱という動揺を部員たちは力に変えたと小沼監督は語る【写真:荒川祐史】
キャプテンの戦線離脱という動揺を部員たちは力に変えたと小沼監督は語る【写真:荒川祐史】

「私たちはハンドボールの才能があるわけでも、個々の能力が高いわけでもない」

「私たちはハンドボールの才能があるわけでも、個々の能力が高いわけでもない。(新人戦と)同じ悔しい想いをしたくないという気持ちを全員が持ち、全員の意識が変わらないとチームは強くならないし、成長できないと思いました。だから、毎日の練習のなかで目標の再確認をしっかりすること、そして自分たちは茨城県一を絶対につかみ取るんだという共通認識を持ち、一人一人、私生活から自立(自律)を徹底しました」(高野)

 しかし、順調にチーム作りが進むなか、今度はチームの支柱であるキャプテンの高野が負傷する。前十字靭帯損傷。予選の出場は絶望的となった。

「悔しい、何のために今までやってきたのかと心の整理がつかなかった。でもそれを口にしたらきっと、チームの雰囲気も暗くなってしまう。泣いちゃいけない、強い姿でなければいけないと、一人で耐えていました」(高野)

 気持ちを汲み、先に手を差し伸べたのは外ならぬチームメートだった。「大丈夫だよ、一人じゃないよ、とみんなが声をかけてくれた。考えてもどうにもならないし、ツラいときはみんなが助けてくれる。試合に出ても出られなくても、キャプテンとしてできることを徹底してやろうと吹っ切れました」(高野)

「キャプテンがいなくなって、最初は不安でした」。そう話すのはチームのエース、浜田桃花(2年)。中学時代、麻生の練習に参加。そのとき、小沼監督の指導する姿を見て、地元・麻生への進学を決めた一人だ。

「でもキャプテンが試合に出られないと知り、自分がその分も頑張ろうと決めた。心が決まったら、『やってやろう』と、余計に気合が入りました」(浜田)

 部員が逞しかったのは、キャプテンの戦線離脱という動揺を力に変えたところだった、と小沼監督。「何より高野自身が、チームのためになろうという姿勢を見せたことが、みんなの気持ちを一つにしたと思います」

 そして迎えたインターハイ予選。麻生は決勝へと駒を進め、20年連続出場を狙う水海道二と対戦する。「今まで水海道二高を倒すために今まで練習してきた。自分の持ち味であるスピードを生かし、カットインやミドルシュートを決めようと思っていた」。先制点を決めたのは、気合い十分で試合に臨んだ浜田だった。

 麻生、先制。その瞬間、高野の目は涙で溢れた。

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビューや健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌などで編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(共に中野ジェームズ修一著、サンマーク出版)、『つけたいところに最速で筋肉をつける技術』(岡田隆著、サンマーク出版)、『カチコチ体が10秒でみるみるやわらかくなるストレッチ』(永井峻著、高橋書店)など。

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