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引退後、街の人の「凄く太ったね」に傷つき 悪意なき体型いじり、私は「ぱんぱんの太ももを愛したい」――フィギュア・村上佳菜子「女性アスリートと体重管理」

「THE ANSWER」は3月8日の国際女性デーに合わせ、さまざまな女性アスリートとスポーツの課題にスポットを当てた「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」を今年も展開。「“つながり”がつくる、私たちのニューノーマル」をテーマに1日から8日までアスリートがインタビューに登場する。さまざまな体験をしてきたアスリートといま悩みや課題を抱えている読者をつなぎ、未来に向けたメッセージを届ける。2日目はフィギュアスケートでソチ五輪に出場した村上佳菜子さん。テーマは「体重管理」。後編では、引退後に13キロ太った体型を指摘されて傷つきながら、笑いに変えてごまかすしかなかった過去を明かした。そして、体型にコンプレックスを抱えながらも「自分を好きになる」という目標を掲げ、ルッキズム(外見至上主義)が課題とされる世の中への願いを語った。(取材・文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

自身の体型について「初めてこんなに話した」という村上佳菜子さん【写真:荒川祐史】
自身の体型について「初めてこんなに話した」という村上佳菜子さん【写真:荒川祐史】

「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」2日目 女性アスリートと体重管理/村上佳菜子インタビュー後編

「THE ANSWER」は3月8日の国際女性デーに合わせ、さまざまな女性アスリートとスポーツの課題にスポットを当てた「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」を今年も展開。「“つながり”がつくる、私たちのニューノーマル」をテーマに1日から8日までアスリートがインタビューに登場する。さまざまな体験をしてきたアスリートといま悩みや課題を抱えている読者をつなぎ、未来に向けたメッセージを届ける。2日目はフィギュアスケートでソチ五輪に出場した村上佳菜子さん。テーマは「体重管理」。後編では、引退後に13キロ太った体型を指摘されて傷つきながら、笑いに変えてごまかすしかなかった過去を明かした。そして、体型にコンプレックスを抱えながらも「自分を好きになる」という目標を掲げ、ルッキズム(外見至上主義)が課題とされる世の中への願いを語った。(取材・文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

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 ◇ ◇ ◇

 フィギュアスケートを始めた幼少期から「食事は必ず一口残しなさい」と教える母に常に見られ、食事中に母がいなくても“視線”を感じるようになった村上さん。体重コントロールに苦労し、月経不順や疲労骨折も味わいながら、22歳で現役引退するまでスケートにすべてを捧げてきた。

 その反動から、引退後に体型に変化が起きた。

「運動量が100分の1くらいに減ったのに食べる量は増えて。練習漬けで忙しかった時間がなくなり、友達に呼ばれたらスナックでもどこでも“フッ軽”で行っちゃう。そこでポップコーンやポテトチップスを食べながらお酒を飲んで……みたいな感じ。誰も止める人がなくて。痩せるのは大変なのに、太るのは本当に簡単でした(笑)」

 2年間で増えた体重は13キロ。

 新しく服を買っても、ズボンはすぐにパツパツに。体重計は「朝が一番軽いから」と朝に服を全部脱いで乗る。丸くなった顔もメイクで必死にごまかす。「自分が太っていくのを見て見ぬふりしていました」。しかし、本人はそうであっても、周りの反応は正直だった。

 番組のロケ先で接するおじちゃん、おばちゃんに「(顔が)パンパンだね」「凄い太ったね」と言われる。悪気はないし、太った原因は自分にある。まして明るく親しみやすいキャラクター。言い返すわけにはいかない。できるのは笑っておどけることだけ。でも――。

「(キャラクターとの)葛藤はすごくありました」と打ち明ける。

「選手の時から体型の深刻さが染みついているし、傷ついて、自分への自信がなくなりました。こう見えて、とても繊細で傷つきやすくて。ちょっとしたことでも、言われたら傷つく言葉が今もある。(友人との食事でも)『すごい食べるじゃん』とか『たくさん頼んだね』『ずっと食べてるよね』とか言われるだけでもグサッと来る。なんとか笑いに変えて、恥ずかしさから逃れるけど、言われたことはずっと心に残る。だから、『食べるのは悪いこと』って、今も心のどこかで思っています」

 引退後に太ることはトップレベルでなくとも珍しくない。練習量が減ったのに、現役時代と同じような食事量を取る。あるいは引退した解放感から、食事もお酒もさらに増える。生活リズムも不規則に。ルッキズムが社会的課題になっても、村上さんのようにタレントとして表舞台に立つと、避けて通れない面もある。

 明るいキャラクターがゆえに体型の“いじり”も笑いに昇華し、言った側も傷つけている自覚がないのは、一般社会においても深刻な例と言えるだろう。

 ただ、そこはアスリート。転機になったのも、自分の競技だった。出演するアイスショーで動きにキレがなくなったことを実感。テレビの世界では共演するモデルやタレントが細い人ばかり。「テレビって本当に膨張して見えるんです(笑)。ちょっとこのままじゃヤバイって……」。ダイエットを決心し、減量に励んだ。

 もともと基礎代謝が多く、当時の運動量まで戻して食材活も改善。ピラティスも始め、1年間で8キロ減量し、以降もゆっくりと体重を減らしている。

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