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「五輪かけた演技直前のトイレで生理が…」 食べる事は悪と刷り込まれ、体重にも月経にも無知だった過去――フィギュア・村上佳菜子「女性アスリートと体重管理」

「THE ANSWER」は3月8日の国際女性デーに合わせ、さまざまな女性アスリートとスポーツの課題にスポットを当てた「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」を今年も展開。「“つながり”がつくる、私たちのニューノーマル」をテーマに1日から8日までアスリートがインタビューに登場する。さまざまな体験をしてきたアスリートといま悩みや課題を抱えている読者をつなぎ、未来に向けたメッセージを届ける。2日目はフィギュアスケートでソチ五輪に出場するなど、第一線で長く活躍した村上佳菜子さん。テーマは「体重管理」。前編では、昨年10月に体型のコンプレックスをインスタグラムで打ち明けたことを振り返り、人生で直面してきた体重管理の苦悩を告白。幼少期から五輪を目指して競技に没頭し、自分の体を守る知識がなく月経不順や疲労骨折に悩んだこともあったという。(取材・文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

ソチ五輪に出場した当時の村上佳菜子さん【写真:Getty Images】
ソチ五輪に出場した当時の村上佳菜子さん【写真:Getty Images】

「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」2日目 女性アスリートと体重管理/村上佳菜子インタビュー前編

「THE ANSWER」は3月8日の国際女性デーに合わせ、さまざまな女性アスリートとスポーツの課題にスポットを当てた「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」を今年も展開。「“つながり”がつくる、私たちのニューノーマル」をテーマに1日から8日までアスリートがインタビューに登場する。さまざまな体験をしてきたアスリートといま悩みや課題を抱えている読者をつなぎ、未来に向けたメッセージを届ける。2日目はフィギュアスケートでソチ五輪に出場するなど、第一線で長く活躍した村上佳菜子さん。テーマは「体重管理」。前編では、昨年10月に体型のコンプレックスをインスタグラムで打ち明けたことを振り返り、人生で直面してきた体重管理の苦悩を告白。幼少期から五輪を目指して競技に没頭し、自分の体を守る知識がなく月経不順や疲労骨折に悩んだこともあったという。(取材・文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

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 ◇ ◇ ◇

 昨年10月25日、村上佳菜子さんはインスタグラムの投稿で1本のメッセージを掲載した。

「現役で頑張ってた時から競技上痩せていなきゃいけなくて、小さい頃から食べ物を食べる。という行動は特別になっていました」という書き出しから始まる、700字を超える長文。食事をしている時に監視する母の視線が嫌で、じっと見られるのが苦手になったこと。引退後に13キロ太った体型を指摘されて傷つき、自信を失ったこと。「美しくて綺麗で可愛い」が植え付けられた日本で、太くて短い脚にコンプレックスを持っていること。それでも、自分の体を愛そうと、必死にもがいていること。

 元オリンピック選手で、バラエティ番組でも活躍し、明るいキャラクターの村上さんの赤裸々な言葉は大きな反響を呼んだ。

「実は思っていることを素直に書いただけで『よし、言うぞ!』なんて覚悟はなくて、反響があったのも自分の中でしっくり来てないくらいなんです。太っていることを笑いにしていました。『太っちゃった~』『私、脚に筋肉があるから、短いスカート履きたいんだけど、コンプレックスで~』みたいな。笑いに変えて恥ずかしさから逃れる感じ。でも、同じように体型のことで悩んでいる人が多いことが発見だし、ビックリしたし、逆に温かい声で、私の方が元気をもらいました」

 そう明るく振り返りながら、何気なく口にした言葉は重い。「でも『食べるのは悪いこと』って、今も心のどこかで思ってます」。食べることが悪。そんな考えが拭い切れないほど、村上さんにとって体重が切っても切り離せない人生だった。

 フィギュアスケートを始めたのは3歳。6歳上の姉を追い、競技が盛んな愛知で教育熱心な母の下、練習に打ち込んだ。

 体重が30キロにも満たない小学生の頃から、先輩たちに「軽くていいな」と言われ、「体重は軽い方がいい」と刷り込まれた。当時はその理由などよく分からずに。母の教えは「食事は最後の一口を必ず残しなさい」。その一口で太るから、と。食べるという行為に、自然と“隠れる”意識がついた。

「練習場の下にケンタッキーがあったから、帰りにこっそりチキンを買ったり、(店舗が)マクドナルドになったらポテトを買ったり。自転車で10分の距離なのに買った物を食べながら20分かけて。アイスの時もありました(笑)。外食に行っても、母は『量は頼んでいいけど、全部一口ずつにしなさい』と。残した物は母が全部食べる。お米もなるべく食べたらダメ。すごくストレスで。母も無意識に私を見ているし、私も見られていないのに視線を感じるようになっていったんです」

 朝から晩まで練習をこなし、食事は移動の合間。「最後の一口を残しなさい」は絶対で、できるだけ食べて、残った物を薄く伸ばして多く見せる術を身につけた。いつも空腹。育ち盛りの小学生の頃に「満腹」を知ることは、ほとんどなかった。すべてを競技に捧げた。

 おかげで15歳で世界ジュニア選手権を制すると、浅田真央に次ぐ天才少女としてスポットライトを浴びた。

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