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スポーツ団体「女性理事4割」の目標は妥当? 数合わせに流されず、真の多様性を確保するには

河合氏はガバナンスコードに掲げられる『4割』という数字は妥当なのか?という疑問を持っている【写真:中戸川知世】
河合氏はガバナンスコードに掲げられる『4割』という数字は妥当なのか?という疑問を持っている【写真:中戸川知世】

河合氏の疑問「『4割』という数字は妥当なのか?」

河合「それと、僕自身はそもそもガバナンスコードに掲げられる『4割』という数字は妥当なのか? という疑問を持っています。多様性を確保するためには(マイノリティの占める割合が)4割は必要と言われます。しかし、5割ではなく、本当に4割で良いのでしょうか? そもそも男女だけで語ってよいのか、という話もまた別にありますが」

井本「男女だけで語るのであれば、両者5割が適切では? ということですね」

河合「そうです。それと数値目標を設定することに対してですが、意味があるとはわかっているものの、『目標数値さえクリアすれば、適正なガバナンスが取れている』という勘違いに陥りやすいとも感じます。より良いガバナンスの確保に向かうためには、性別ではなく、どういう人たちを登用するかという議論を行われなければなりません。ところが、目標数値を掲げることにより、『女性が少ないから、女性で候補になりそうな人を探しましょう』と、数合わせのような行動に流されてしまう。実際、そう感じる場面もこれまでにあります」

井本「そこが、難しいところだと私も常々感じています。河合さんがおっしゃるように、その競技団体で自分が何を求められているのかをまったく知らないまま、理事になったという女性は実際にいます。本来であれば、まずは組織の課題を洗い出し、解決できる人を呼ぶということが当たり前です。ところが、そのプロセスを飛ばして、人数合わせのように無理やりニーズとマッチングした人に声を掛ける。これは、スポーツ界のガバナンスで当たり前に起きていることの一つで、効率的ではないなぁと感じます」

河合「意思決定層に占める女性の割合が40%の目標値を達成したとしても、例えば男性に忖度し、彼らの意見にイエスと言う女性が増えただけでは、多様性を担保したことにならないですよね。恐らく組織は何も活性化されません」

井本「その点、JPCが昨年、加盟競技団体の女性リーダーに関する実態調査をし、数字だけの議論だけではない、より実質的な内容を明らかにしたのは素晴らしいと思いました。(https://www.parasports.or.jp/paralympic/jpc/data/2022/report_women-leaders_leaflet.pdf)」

河合「ありがとうございます。2019年にスポーツ団体のガバナンスコードが策定され、女性理事40%目標が打ち立てられ、まずはJPC、そして各競技団体が、自分たちの実態を把握する必要性を感じていました。現状を数字によって明確に表すことで、今後の活動を明確化しよう、という趣旨で取り組みました」

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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