女子生徒に短髪強制、恋愛禁止…「子供が嫌がるルールって必要?」 女の子のスポーツ離れに世界的金メダリストからの警鐘
厳しい規則を設けることが多い日本の部活動に抱く印象
――一方で、日本人の特徴かもしれませんが、特に中高生の年代はシャイな子たちが多い。例えば月経の問題や悩み事などをオープンにできない子もいます。
【特集】「タブーなしで考える女性アスリートのニューノーマル」 THE ANSWER的「国際女性ウィーク」特設サイトはこちら
「むしろ、私はスポーツ自体がその手助けになると思うんです。スポーツをすることで子供たちに力を与えて、自信がつき、自分で発言したいというような行動につながる。いくつもの経験を通じて、よりオープンに話せるようにしていくことも重要です」
――日本の部活動は、厳しい規則を設けることがスポーツ離れを招く要因のひとつとも言われています。ミッシーさんには信じられないかもしれませんが、女の子も髪を短くしなきゃいけない、恋愛をしてはいけないなどのルールも珍しくありません。
「ええっ! 私の髪はこんなに長いけど!(笑)」
――海外のアスリートという視点から、自由を制限して成り立つ指導はどんな印象でしょうか。
「こうした課題が、コーチにより多くのサポートやツールを提供したいと思う一つの理由です。もちろん、文化的な違いは理解していますが、女の子に力を与えて、より長くスポーツを続けていくためには、髪の毛が長い・短いってほとんど関係ない。『将来的にスポーツを通じて得られるメリットのために、本当にそのルールは大事?』『(目先の結果より)もっと大事なことのために、子供たちが嫌がるようなルールを課す必要って本当にある?』と必要な部分は見直していくべきではないでしょうか」
――ミッシーさんは女の子のスポーツの普及を考えて活動していますが、パリ五輪は男女アスリートの参加人数が同等となったことが男女平等の象徴となりました。さらに今後の活動において、どんな理想を描いているのでしょうか。中長期的なビジョンがあれば、教えてください。
「まさにパリ五輪で見た男女平等は本当に素晴らしかったです。なので、この勢いを止めないこと、継続していくこと。ここで一旦、スタンダードができたので、元に戻らずにどんどん先に進めていくこと。そして、アメリカでも徐々にスタートし、世界的にも波及している流れではありますが、男性と同じくらい女性もメディア露出を高めてもらうことも重要です。若い女の子がテレビなどを通じて、同じ女性が頑張って活躍している姿を見られること。4年に一度の五輪でしか見られないのではなく、日常的にテレビで見られる環境作りをしてあげることが大事です」
――メディア露出という点では、観る側が楽しさを感じられなければいけません。しかし、今日登壇された女子野球の田中選手も、フィジカル的に男子に迫力で負ける女子野球の魅力がどうすれば伝わるか、悩みを吐露していました。陸上や競泳などもタイムは男性が上位。この点はどう考えているのでしょうか。
「まず、これまでメディアに出ているのは男性スポーツが多く、女性スポーツの場合、何が凄いのかという物差しが頭の中にないと思うんです。なので、スタンダードがそもそも分からない。男性の場合はよくメディアで目にするので、これくらいできると分かるのですが。どんどん見るにつれて『女性でこれだけできるのは凄い』と物差しができて、一人一人の価値が分かってくる。なので、メディアの露出を増やすことで、よりワクワクしながら見られるようになっていくと思います」