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アルバイト経験もない人生に選手は「不安」 WEリーグが挑むセカンドキャリアの道作り

岡島さんと井本さんは「女子サッカー選手のセカンドキャリア問題」について考えを交わした【写真:宮坂浩見】
岡島さんと井本さんは「女子サッカー選手のセカンドキャリア問題」について考えを交わした【写真:宮坂浩見】

アルバイト経験もない人生、なでしこジャパン選手は「不安」

井本「大学生のWEリーガーもいらっしゃるのでしょうか? フロントに入る人材には大学でしっかり学んだ選手がいることも大事かなと思いますが」

岡島「Jリーグ同様、WEリーグにも大学生選手はいます。また、元なでしこジャパンの海堀あゆみさんは引退を決めた後、指導者になることを目指して、慶應義塾大学総合政策学部のAO入試を受験し、合格しています。彼女のように、引退してから学ぶ道もありますよね」

井本「現役選手でいる間は多くの選手が、引退後のキャリアを考えられる状況にないと思います。漠然と『選手をやめた後どうしよう』という不安のなか、そういったロールモデルを知ることで、選択肢が増えますよね」

岡島「セカンドキャリアの話をすると、サッカーの指導者になる道は、すでにあります。ですから私は、なるべく、他の選択肢も作ってあげたいんですね。高校卒業後、すぐになでしこリーグに入ったあるなでしこジャパンの選手は『会社に勤めた経験もなければ、アルバイトなどの経験もない。将来に不安がある』と話していました。そこで、経団連の方に、女子選手を数か月、企業にインターンとして受け入れられないか、と掛け合いました」

井本「それは素晴らしいですね。インターンの経験はとても重要ですね。私も競技を引退してからいくつかやりました」

岡島「でしょう? インターンをやれば履歴書に書けるし、例えば一部上場企業などでインターンとして学べることは、数か月でも数多くあります。私は自分のビジネス経験におけるバックグラウンドから、企業と話をすることが得意。ですから、引き続きサッカー業界以外での道作りを行っていきたいと考えています」

(24日掲載の後編に続く)

■岡島喜久子

 東京都出身。中2で男子サッカー部に入部。その後、東京・渋谷区を拠点に活動する女子サッカーチーム、FCジンナン入り。1977年、中国で開催された国際大会「第2回AFC女子選手権」にFCジンナンの一員として参加。1979年の日本女子サッカー連盟設立時に初代理事メンバーに就任。1989年に海外転勤を機に選手を引退した。早大卒業後から長年、現JPモルガン・チェース銀行、米国のメリルリンチなど日米の金融業界に従事。2020年7月、WEリーグの初代チェアに就任した。

■井本直歩子

 東京都出身。3歳から水泳を始める。近大附中2年時、1990年北京アジア大会に最年少で出場し、50m自由形で銅メダルを獲得。1994年広島アジア大会では同種目で優勝する。1996年、アトランタ五輪4×200mリレーで4位入賞。2000年シドニー五輪代表選考会で落選し、現役引退。スポーツライター、参議院議員の秘書を務めた後、国際協力機構(JICA)を経て、2007年から国連児童基金(ユニセフ)職員となる。JICAではシエラレオネ、ルワンダなどで平和構築支援に、ユニセフではスリランカ、ハイチ、フィリピン、マリ、ギリシャで教育支援に従事。2021年1月、ユニセフを休職して帰国。3月、東京2020組織委員会ジェンダー平等推進チームアドバイザーに就任。6月、社団法人「SDGs in Sports」を立ち上げ、アスリートやスポーツ関係者の勉強会を実施している。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)


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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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