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阪神を足から変えた“走りのプロ”の革命 選手も驚き「もう10年早く知りたかった」

野球選手の「走りの欠点」とは? 「努力度を高めれば、速くなる」は間違い

「自分は陸上選手として『0.01秒』を縮めるために大変な思いをして、何年も努力してやってきた。それが、もともと走りのトレーニングをした経験がないとはいえ、数時間でこんなに速くなってしまった。『すごく可能性あるな』って、おもしろさを感じました」

 オリックスとの縁を取り持ったトレーナーは阪神に移籍。そして、1年前の秋季キャンプから臨時コーチとして、阪神でもスプリント指導を任されることになった。

 そもそも、50メートル5秒台で走る選手もいるし、アスリートとしての身体能力は野球選手もトップレベル。にもかかわらず、そんな簡単にタイムが伸びてしまう、野球選手の「走りの欠点」はどこにあるのだろうか。

「サッカー選手とも似ているのですが、『足を速く走る=足を前に出す』という意識を持っています。努力度を高めれば、速くなるだろうという考えです」と明かした上で、こんなシチュエーションを挙げる。

「それが、一番起きるのが凡打になって一塁に行くまで。打ち損じて『やばい』と心理的に体勢が崩れ、際どいタイミングでセーフを狙いにいくと、体が前に傾いて、足を前に振り出そうという走りになる。横から見たら『く』の字の姿勢。それは速く走る上で正しいフォームではないし、引っ張り込んで走る瞬間に太もも裏の肉離れが生まれやすくなります」

 阪神で始まった指導。最初はキャンプ序盤に3日間、終盤に再び3日間指導したが、またも大きな驚きが待っていた。

「最初に見た時、ほぼ全員がこの走りをしていたんです」と秋本氏。秋季キャンプは1軍主力級、ベテランを除いて行われたが、参加選手すべてが速く走る上で理想的とはいえないフォームで走っていた。

 ここから、本格的な取り組みが始まった。正しくつま先で接地するため“その場ジャンプ”など、陸上界で用いられている矯正メニューを敢行。小学生のかけっこ教室も行っている秋本氏は「言っていることは小学生にも変わらない」と話す。意外とプロ野球選手にも理解されていないスプリントの基本を注入していった。

 なかでも、印象的だった選手がいる。大ベテランの鳥谷敬だ。

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秋本 真吾

プロスプリントコーチ

1982年4月7日生まれ。福島県出身。双葉高(福島)を経て、国際武道大―同大学院。400メートル障害で五輪強化指定選手選出。200メートル障害アジア最高記録(当時)樹立。現在は伊藤友広氏らとスプリント指導のプロ組織「0.01 SPRINT PROJECT」を立ち上げ、全国のかけっこ教室で延べ7万人を指導。また、延べ500人以上のトップアスリートも指導し、これまでに内川聖一(ヤクルト)、槙野智章、宇賀神友弥(ともに浦和)、神野大地(プロランナー)ら。チームでは阪神タイガース、INAC神戸、サッカーカンボジア代表など。
http://001sprint.com/

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