松山英樹に見た「マスターズ王者の勝ち方」 元キャディー進藤大典は歓喜「もう完璧」
松山の攻め方に感じたこと「フィーリングがかなり良かったのだと思う」
最初に「狙った」と感じたホールは、6番パー5だ。池越え右ドックレッグだが、第1打は大胆なショートカットの上にスライスをかけて、フェアウェーをとらえた。そして、2オンに成功して10メートルのイーグルパットを決めた。
さらに池越え左ドッグレッグの10番パー4でも、最短距離で第2打を残り90ヤードにつけた。前日は左に大きく曲げた左ドッグレッグの18番パー5でも、左コーナーを狙った第1打で、フェアウェーをとらえた。こうした攻め方について、進藤氏は「英樹は自信がないとやらないタイプなので、ショットのフィーリングがかなり良かったのだと思います」と分析した。
優勝を決めた後、松山は「2年ぶりの(日本)開催ということもあり、上限はありましたが、たくさんの方々に来ていただきありがとうございます」と言った。2年前の同大会は、タイガー・ウッズとの一騎打ちになっての2位。昨年はコロナ禍を理由に米国開催となり、今回は「1日上限5000人」に入場制限するなど、感染対策をした上での日本開催。18番グリーン奥に巨大テントを立て、VIPをもてなす本場と同じ設定がされた中、期待の松山がリベンジ優勝を飾った。
今年4月のマスターズでは、日本人男子として初めてのメジャー大会王者にもなった。それにもかかわらず、「松山に国民栄誉賞」の声は上がらなかった。米ツアー3勝の丸山茂樹も、今大会のテレビ中継で「もっと、騒ぎになってほしかった」と言ったように、多くのプロゴルフ関係者は「松山はもっと世間に評価されるべき」と願っている。今回の優勝は、そこに向けた意義ある「新たな一歩」になった。
(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)