世界で関心が高まるベジタリアンアスリート 植物性食品はパフォーマンスにどう影響?
Jリーグやジャパンラグビー リーグワンをみてきた公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が「THE ANSWER」でお届けする連載。食や栄養に対して敏感な読者向けに、世界のスポーツ界の食や栄養のトレンドなど、第一線で活躍する橋本氏ならではの情報を発信する。今回は「ベジタリアンアスリートの食事」について。
公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏の連載、今回は「ベジタリアンアスリートの食事」
Jリーグやジャパンラグビー リーグワンをみてきた公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が「THE ANSWER」でお届けする連載。食や栄養に対して敏感な読者向けに、世界のスポーツ界の食や栄養のトレンドなど、第一線で活躍する橋本氏ならではの情報を発信する。今回は「ベジタリアンアスリートの食事」について。
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2022年、世界のスポーツ栄養界を振り返ると、ヴィーガン、そしてベジタリアンアスリートの食事への関心が、ますます高まった年でした。
スポーツ栄養学最新の研究成果を発信するウェブサイト「mysportscience(マイ・スポーツサイエンス)」。このサイトは、運動生理学の権威、イギリス・ラルバラー大学のアスカー・ユーケンドルップ教授が運営し、世界中のスポーツ栄養の専門家の講義が受けられるアカデミーを開催しています。アカデミーが開催した講義動画も、ベジタリアン&ビーガンアスリートのテーマが2022年の人気No.1に。世界中のスポーツ、そしてスポーツ栄養に関わる受講者の、関心の高さがうかがえます。
アメリカのデータをみると、約7%のアスリートがプラントベース食(植物性食品を中心とした食事)を実践しているという報告があります。ちなみに、アメリカ全体でみると、成人の3.3%が実践。うち、18~34歳の年代は6%が実践していると回答。若い人たちの間で、プラントベース食を実践されている方が多いことがわかります。
現在のところ、プラントベース食が動物性食品を含む食事よりもパフォーマンスに有利に働くというエビデンスはありませんが、筋肥大や高いレベルでのパフォーマンスの発揮に有効だとする報告は増えています。
また、これまでの研究の多くは、ベジタリアンやヴィーガンのアスリートにみられる栄養素不足の予防に主眼を置いていましたが、「今後は、最高のパフォーマンスを発揮するための、最適の量を把握することが大切である」と、ユーケンドルップ教授は話します。
それを考えると、プラントベース食はスポーツの世界でも、当たり前の選択肢の一つになってきたといえるでしょう。