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不評続く選手村の食事の裏側 “残り物100%回収”など約束する組織委、アスリートと環境への配慮の両立に課題

今大会掲げられた6つのコミットメントの中身

 次の転換期は、12年のロンドン大会です。大会組織委員会は飲食の提供に関する指針をまとめた「フード・ヴィジョン」を策定します。

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 ロンドン大会のフード・ヴィジョンで新しかったのは、「持続可能性を『食』の側面からどのように実現するのか」という社会への配慮を打ち出したことです。

 例えば、大会期間中に提供する飲食物は、高基準で環境に配慮した地域産又は旬の食材を使用する。食器類や食品包装は再使用又はリサイクル可能なものを使用し、CO2排出量を最小限にとどめるなど。それまで、「アスリートたちのパフォーマンス向上のために何を提供するのか」という栄養面にフォーカスされてきたオリンピックの食が、提供する食事が環境や社会にどのような影響を与えるのか、という視点を持って語られるようになりました。

 ロンドン大会で誕生したフード・ヴィジョンは、2021年の東京大会、そして今回のパリオリンピック及びパラリンピックにも引き継がれています。

 今大会では「すべての人が環境や社会に対する責任を果たしながらも、美味しく食べることを目指す」というテーマの下、組織委員会は以下の6つのコミットメントを掲げました。

<1>4週間の大会期間中に、提供される1300万食(※)の平均二酸化炭素排出量を半減させる。
<2>使い捨てプラスチックを半減させる
<3>すべての食材はサステナビリティ認証食材を使用する
<4>消費されなかった資源を100%回収する
<5>すべてのケータリング設備を再利用する
<6>ケータリングの仕事の10%(選手村では15%)は、障がい者や恵まれない背景を持つ人々の雇用を確保する

 ※観客用のスナック、スタッフとボランティア用、競技者用、メディア用、ホスピタリティ用、オリンピック・パラリンピックコミュニティ用の食事を含む

 提供される食事の内容は、1~3の公約に沿って、フードマイレージを低くする国産の食材を使用します。その結果、食材の80%がフランス産、また食材の30%が有機栽培または有機栽培に移行中の農産物を使用。動物性たんぱく質や揚げ物を減らし、野菜や果物、豆類、全粒穀物を増やしました。

 また、大会期間中、選手村ではフランス料理、アジア、ワールド、アフリカ&地中海の4カテゴリーにハラールのオプション、計500種類のメニューの提供を決めます。

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橋本 玲子

株式会社 Food Connection 代表取締役

管理栄養士/公認スポーツ栄養士

 ラグビーワールドカップ(W杯)2019で栄養コンサルティング業務を担当。2003年ラグビーW杯日本代表、サッカーJリーグ横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビーリーグワン・埼玉パナソニックワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。また、ジュニア世代と保護者に向けてのスポーツ食講座なども行う。著書に『スポ食~世界で戦うアスリートを目ざす子どもたちに~』(ベースボールマガジン社)

URL:http://food-connection.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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