元甲子園球児経営者が野球部を贔屓するマジメな理由「活躍する人に『補欠』の共通点」
野球部出身者を積極的に採用し、新たなセカンドキャリアを提供する若き経営者がいる。2005年の高校野球・春のセンバツで神奈川・慶応高の投手として8強入りに貢献し、現在はギグセールス株式会社の取締役を務める福山敦士氏。27歳で独立・企業し、これまでに4度のM&A(売却)を行った32歳は母校・慶応高で非常勤講師としてビジネス実践講座を担当し、著書も14冊を数えるなど多方面で活躍している。
ギグセールス取締役・福山敦士氏インタビュー前編
野球部出身者を積極的に採用し、新たなセカンドキャリアを提供する若き経営者がいる。2005年の高校野球・春のセンバツで神奈川・慶応高の投手として8強入りに貢献し、現在はギグセールス株式会社の取締役を務める福山敦士氏。27歳で独立・企業し、これまでに4度のM&A(売却)を行った32歳は母校・慶応高で非常勤講師としてビジネス実践講座を担当し、著書も14冊を数えるなど多方面で活躍している。
IPOを目指しているギグセールスは現在、野球部出身者の採用を強化中だ。社会人侍ジャパンの元4番打者や独立リーグ出身の元プロ野球選手などが在籍している。福山氏が経験則に基づき野球部を“贔屓”する理由、野球部出身者の長所・短所などを語ってくれた。前後編でお届けする前編は、採用強化までの経緯、野球と営業の共通点について。(聞き手=THE ANSWER編集部・宮内 宏哉)
◇ ◇ ◇
――今日はよろしくお願いします。まず、野球部出身者の採用を強化されているギグセールスについて教えてください。
「よろしくお願いします。弊社はBtoB(『Business to Business』の略称、企業が企業に対してモノやサービスを提供するビジネスモデル)のマーケティング会社です。法人向けのクラウドサービス、SaaSプロダクトなどを預かり、代わりに営業活動を行っています。『作る力はあるけれど、売る力が足りない』という企業さんが顧客です」
――メンバー約40人(2021年8月時点)のうち、中学以降の野球部経験者が約3割を占めると聞きました。どんな雇用形態なのでしょうか。
「約9割は『プロ営業』と呼んでいる専業フリーランスです。弊社は入社面談時、社員になるかプロ契約になるかを選んでいただいています。報酬が上がりやすく、社員と同じく交通費などの諸費用は会社持ちなのでプロ契約の方が人気ですね」
――「プロ契約」と聞くとプロ野球球団の選手を思い浮かべます。
「組織体系自体がプロ野球の組織に似ています。所属してもらうけど正社員ではない。成果に応じてランクと報酬が変わる。報酬はフルコミッション(完全歩合)ではなく、ベース報酬が3か月ごとに上下します」
――野球部経験者の採用を強化している経緯を教えてください。
「あくまで個人の経験ですが、社会人になってから僕の周りでは野球部出身者が成果を継続的に出していました。嫌なことがあったり、結果が出なかったりしても辞めない、簡単には諦めないというのが野球部出身者に多かったんです。
それと、単純に僕自身の人脈が野球出身者に偏っていたということもあります。もともとの思いとして、その身近な仲間に報いてあげたい、社会人として健全に暴れられる環境を提供したいと思っていました」
――野球部出身者の能力を活かす場を作りたいという思いがあったのですね。
「独立してからずっと野球部出身者を贔屓すると堂々と言ってきました(笑)。なぜかというと、自分が育成し、彼らに報いる自信があるからです。もちろん、他の部活はNGということはありません。ただ、より自分が『面倒を見たい』『頑張ってほしい』という人を受け入れられる環境を作ってきました」