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公立校の運動部にスポンサー 米国の部活で確立された「入場券とスポンサービジネス」

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回のテーマは「入場券とスポンサービジネス」。

アメリカの高校バスケットボールの試合【写真:Getty images】
アメリカの高校バスケットボールの試合【写真:Getty images】

連載「Sports From USA」―米国で見られる入場料とその仕組みとは

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回のテーマは「入場券とスポンサービジネス」。

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 米国人はお金を集めるのがうまいな、と思う。

 NPOの寄付集め、企業のスポンサー探し、起業する人の出資者探しを見ていて、そう感じる。学校運動部でも同じだ。お金を集めることに後ろめたさがないし、スポンサーや寄付集めの方法も確立されている。私立校だけでなく、公立校でも、盛んに寄付やスポンサーを募っているし、試合の観戦料ももらう。

<入場料とその仕組み>

 公式戦は入場料を徴収するのが一般的で、たいていは5ドル程度。高校生料金、子ども料金など5ドルよりも安い金額に設定されているところもある。私の住んでいる学校区は、100ドル券も発行している。ホームの試合限定だが、100ドルで、どの運動部の試合を何試合でも、見ることができるというものだ。

 しかし、入場券の発行という作業にもお金がかかる。紙の入場券であれば、紙代や印刷代がかかるし、オンラインで販売しても、ウェブサイトやアプリの管理者が必要になる。その手間とコストを代行する会社まであるのだ。

 高校側はその会社から、印刷や紙の費用を払わずに入場券を手に入れる。代行する会社は、入場券にスポンサーをつけることで収入を得ている。具体的にどうなっているのかというと、Huddleという会社が発行している入場券は、裏面が広告スペースになっている。たいていはファーストフードやスポーツ用品店の広告で割引クーポンとして使用可能。2017年のビズジャーナル電子版によると、全米の高校運動部のうち、Huddleの入場券を使用している高校は9000校以上あるという。私がここ1年間で購入した入場券のうち、Huddleのものでないのは、1校だけだった。

 高校運動部の多くはリーグ戦で、ホーム、アウエー方式。ホームは自校のグラウンドや体育館、アウエーの場合は対戦相手校の施設を使う。学校の施設なので、施設利用料はかかっていない。しかし、運動部活動そのものには、個人で使うユニホームから、全員で使う練習の用具などの購入にお金がかかる。コーチに報酬を支払う場合は財源が必要だ。入場料収入は、運動部にかかる費用の一部を補っている。

 ただし、各学校区によって、誰が入場料を集め、どのように使うかは違う。私の住んでいる学校区は、入場料徴収は学校区の職員が行い、すべての運動部の入場料は、いったん学校区が管理して、各運動部に分配する。

 入場料徴収は、最近始まったことではなく、今から100年ほど前、高校生たちが全く自主的に運動部を運営していた頃から行っていたようだ。高校生が、自分たちで雇ってきたコーチへの支払いや、その他のコストを、入場料から得た収入でカバーしていたというのだから大したものだ。

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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