日本は「欧州に比べて生きづらくない」 来日半年、人混みの渋谷にすら平穏を感じる「一番の理由」
いまやプロスポーツで当たり前の存在になった外国籍選手や指導者たち。しかし、競技以外にスポットライトが当たることは多くない。母国を離れて日本という異国に適応に励みながら、どんな日々を送っているのか。「THE ANSWER」は、連載「Athlete Life in Japan」で様々な声を取り上げる。第1回はバスケットボールBリーグの川崎ブレイブサンダースに今季加入した米国出身のサッシャ・キリヤ・ジョーンズ。英国人の母を持ち、英国代表に4度選出されている身長211センチのセンターだ。後編では、異国での私生活でもストレスを感じずにいられる理由を明かしてくれた。

連載「Athlete Life in Japan」――第1回Bリーグ川崎サッシャ・キリヤ・ジョーンズ
いまやプロスポーツで当たり前の存在になった外国籍選手や指導者たち。しかし、競技以外にスポットライトが当たることは多くない。母国を離れて日本という異国に適応に励みながら、どんな日々を送っているのか。「THE ANSWER」は、連載「Athlete Life in Japan」で様々な声を取り上げる。第1回はバスケットボールBリーグの川崎ブレイブサンダースに今季加入した米国出身のサッシャ・キリヤ・ジョーンズ。英国人の母を持ち、英国代表に4度選出されている身長211センチのセンターだ。後編では、異国での私生活でもストレスを感じずにいられる理由を明かしてくれた。
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「東京はクレイジーな街だね」
クラブ公式サイトのプロフィールで「オフの過ごし方」という項目に「渋谷に行く」と書いたキリヤ・ジョーンズ。世界最大の人口を抱える都市圏に圧倒されつつ、意外な感想を漏らした。「昨年いたスペインのビーチタウンと比べても、ここの方がピースフルでいられるんだ」。人混みに揉まれてストレスを感じる日本人が多い中、なぜ平穏な気持ちでいられるのか。
「欧州と比べて生きづらくないんだ。数か月海外で生活していると、ある段階で壁に当たったりするもの。欧州での生活はくじけることもあった。ストレスフルだった。ここでは6、7か月経ってもまだそれを全く感じないんだ。嬉しい驚きだね。なぜって? 複数の要素があると思うけど、1つは街がどれだけ綺麗かということ。
日本に来る前に住んでいたロサンゼルスでは、10フィート(約3メートル)も歩けばホームレスのテントが歩道を塞いでいる。東京と比べて危険な街だから、常に後ろを振り返って警戒しないといけない。ここ日本ではみんな安心感を持っている。誰も二度見してこない。それが一番の理由かな。あとは交通の便の良さ。電車のシステムのおかげで本当にラクチンだよ」
もちろん、言語の壁にぶち当たることも。タクシーを呼び出すと、配車アプリがナンバープレートを日本語で読み上げる。それを聞いた運転手が日本語で話しかけてきて「オー、僕は日本語話せないよ」と焦ることがあると笑う。飲食店では英語を話せる店員がいない時は翻訳アプリを使用。「翻訳機に頼らずに注文できるようになりたい」と絶賛勉強中だ。
身長211センチの大男には、日本は何もかもが小さい。「家の玄関口が僕の背よりちょっと低いから、毎回屈まないといけない。1か月に1回は自分の家で頭をぶつけるんだ。電車ではつり革が頭に当たるし、バスの座席には収まらない。でも、米国でも似たようなものだったよ。あっちは縦より横に大きい人が多いから」。不便を感じたことすらも、楽しそうに振り返った。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)