「負けた時の保険をかけてる」 ボクサー京口紘人を変えた妻、願った「紘人君の男気が見たい」
13日、ボクシングの元世界2階級制覇王者・京口紘人(ワタナベ)が、東京・両国国技館でWBO世界フライ級王者アンソニー・オラスクアガ(米国・帝拳)に挑戦。2022年11月の王座陥落から再起し、3階級制覇挑戦のチャンスを手にした。不退転の決意で臨んだ日々を全3回でお送りする。第2回は「悪い意味でも大人になりすぎている」と指摘した妻・亜希さんの心情。「無事に帰ってきて」とあえて言わなかった理由がある。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

京口紘人が人生を懸けた3階級制覇挑戦への日々
13日、ボクシングの元世界2階級制覇王者・京口紘人(ワタナベ)が、東京・両国国技館でWBO世界フライ級王者アンソニー・オラスクアガ(米国・帝拳)に挑戦。2022年11月の王座陥落から再起し、3階級制覇挑戦のチャンスを手にした。不退転の決意で臨んだ日々を全3回でお送りする。第2回は「悪い意味でも大人になりすぎている」と指摘した妻・亜希さんの心情。「無事に帰ってきて」とあえて言わなかった理由がある。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
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京口が大学を卒業し、大阪・和泉市から上京したばかりの頃。ロードワーク中に散歩をする犬を見かけた。犬とじゃれ合った後、飼い主に一言。「僕、ボクシングをやっていて。世界チャンピオンになるんで、見ててください!」。2023年1月に結婚。実は、この飼い主が偶然にも妻・亜希さんの友人だった。
「結婚後にその友だちから連絡が来て知りました。見ず知らずの散歩中の人に、そんなぶっ飛んだことはなかなか言えない。本当に何も考えず、世界王者になると思っている。その度胸、自信、勢い、マインドが素晴らしいなって。それで今、世界王者になって負けも経験して、要領のいい大人になってしまったと思ったんです」
オラスクアガ戦が決まった後。亜希さんは夫のリラックスした時間を見計らい「良い意味でも、悪い意味でも大人になりすぎているんじゃない?」と投げかけた。31歳、世界戦は過去9回。良くも悪くも、要領の良さが身についていた。
「2階級制覇ができたから、次からはボーナスチャレンジやと思っています」と会見で語る姿も、亜希さんは気になった。「いやいや、まだメインステージにおんねんから、イケイケで行っていいやん!」。明るい関西弁にトゲはない。
「斜に構えているつもりは絶対にないと思うけど、そう見えてしまうんです。負けた時のために保険をかけているように見える。今はベルトがないから守るものは特にないと思うけど、まだプライドがあるように見えたから。『絶対にチャンピオンになります! 3階級制覇します!』という感じでガンガンに行ってもいいし、そうやって自分に暗示をかけるのもいい。
負けても誰も責めへんし、『あいつ、負けよったで』なんて誰も思わん。みんなは京口がいい試合をするかどうかよりも、チャンピオンになるために挑戦している姿を見たいだけやから、応援したいだけやから。
『やりたかったからやる。もっと自分の魂に素直になって、覚悟を決めてやった方がいいんじゃない?』と思いました。別に家でイライラしてくれてもいいし、もっと思うように表に出してやったらいい」