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関係者が頭を抱えたスケボー五輪採用 かつて君が代が流れてもお喋りした“子供たち”が世界で通用したワケ

「もともと強かった。ただ、世界と戦う場がなかっただけ」

 五輪によって世界への扉が開かれると、日本の「子どもたち」が大活躍した。もともと日本のレベルは高かったが、それを知らないだけだったのだ。日本代表の早川大輔コーチは「以前は力はあっても世界に出られなかった。強くなったわけじゃなく、もともと強かった。ただ、世界と戦う場がなかっただけ」と話した。

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 日本の子どもたちの技術が高いのは、年間を通してツアー戦をやるなどコンテストがあるから。もともとストリート(街中)の遊びだが、日本は街中で楽しむ環境には恵まれない。だから、子どもたちをパークに集めて大会を開催する文化が生まれた。大会とはいえ、遊びの延長。ゲーム感覚で自分たちの技を磨いていった。

 ツアー戦が終わると、主催者の一人が1000円札や1万円札を手に声をかける。「ワンメークやるよ!」。大会参加者も応援していた仲間たちも、次々と自慢のトリックに挑み「賞金」を目指す。一番「ヤバい」技を決めた子が「お小遣い」とともに仲間の羨望を浴びてヒーローになる。次の大会ではその技が真似られ、さらに「ヤバい」トリックが生まれる。そんな「ゲーム(遊び?)」の繰り返し。日本にしかない環境のもとで、うまくならないはずはない。

 しかも、日本には男子とともに女子の大会も以前からあった。もともとは「不良の遊び」。海外では「女の子がやる遊びじゃない」という考えが根強かったが、日本は少し違った。女子でも男子と一緒に遊べる環境があったから、日本は女子のレベルが自然と高くなった。小柄で俊敏、同じことを何度でも繰り返せるメンタルなど日本人に合うのも強さの秘密だが、大きなアドバンテージは環境にある。

 スケボーが「追加種目」として行われるのはパリが最後。次のロサンゼルスからは陸上や競泳と同じように「五輪正式競技」となる。スノーボートのようにフラットランドやバート、ビッグエアーなど新たな種目が増える可能性もある。五輪によってスケボーは変わる。

 それでも「遊び」として社会に受け入れられてきた日本。特に女子の強さは、しばらく続くような気がしてならない。

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)


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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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