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箱根駅伝が放送されない沖縄で活況 離島の大学駅伝に東急&三菱地所ら著名企業が協賛するワケ

専修大の1区を走った沖縄出身の具志堅一斗【写真:長嶺真輝】
専修大の1区を走った沖縄出身の具志堅一斗【写真:長嶺真輝】

“不毛の地”を脱却しつつある沖縄のレベル底上げに

 最後にもう一つ、宮古島駅伝が行われるメリットとして見逃せない点がある。沖縄の長距離選手の育成強化である。

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 沖縄の陸上界は投てきや跳躍で国内トップクラスの選手が生まれることはあったが、長距離は極めて少なく、全国都道府県対抗駅伝でも40番台が定位置となっている。前述したように箱根駅伝に対する馴染みも薄い。1992年の第68回大会で初優勝を飾った山梨学院大学で沖縄出身の比嘉正樹が9区を走ったが、その後は箱根に出場する県勢はちらほらいるのみ。継続して有力選手を輩出する土壌がなく、長距離ランナー“不毛の地”と揶揄されることもあった。

 しかし、近年はその不名誉なレッテルを脱却する兆しが見え始めている。旗振り役を担うのは、沖縄本島北部にある北山高から國學院大に進んだ上原琉翔(2年)だ。まだ1年生だった昨年の箱根で7区に出走し、区間6位の力走で4位から3位に順位を上げた。沖縄出身選手が箱根路を駆けるのは実に5年ぶりで、今年の第100回大会も5区を担った。

 今年は上原と北山高時代の同期で、日本最南端の有人島・波照間島出身である日本大の大仲竜平(2年)も10区を走ったほか、同じく同期である國學院大の嘉数純平(2年)も登録メンバーに入り、力がある。沖縄では3人の母校である北山高が指導に力を入れていることに加え、亜細亜大学時代に関東学連選抜で箱根を経験し、実業団の小森コーポレーションでも走った濱崎達規が主催する陸上クラブ「なんじぃAC」を中心に中学年代の指導レベルも徐々に向上している。

 沖縄市にあるコザ高出身で、今回の宮古島駅伝に専修大1区で出走した具志堅一斗(1年)は「県外で活躍している沖縄出身ランナーだと、やっぱり上原さんや嘉数さんの名前が挙がります。僕もしっかり練習して大きな大会で結果を残し、名前を覚えてもらえるようにしたいです」と刺激を受ける。

 宮古島駅伝には沖縄の中高生もエントリーする沖縄選抜チームもオープン参加しているため、強豪大の選手と一緒に走ることで受ける影響は大きい。今大会で実行委員長を務めた宮古島市陸上競技協会の本村邦彦顧問も「沖縄出身選手もいいランナーが増えてきている。沖縄全体としても、宮古島としても、この駅伝から箱根を走る選手が育っていくといいですね」と期待した。

 規模が拡大して2年目を終えた宮古島駅伝。運営面では白バイの数を増やして安全管理を強化するなど、改善点も多く見えた。一方、参加者から「区間ごとで距離のバリエーションがあるともっとレース展開が白熱したり、各大学も参戦しやすくなったりするかもしれない」といった提言もあった。チームの遠征費などを賄うためにクラウドファンディングを実施したが、今後もいかに安定して運営費を確保するかも課題の一つになりそうだ。

 事務局は大会終了後、各大学にアンケートを実施し、チームにとってよりプラスになるような大会運営の在り方を追求していく方針だ。参加大学の強化、宮古島の活性化、沖縄長距離界のレベル向上など多方面に好影響が見込まれるだけに、大会の継続とさらなる発展が期待される。

(長嶺 真輝 / Maki Nagamine)

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