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アジア杯で晒された日本代表の弱点 他国も“史上最強化”した今、W杯予選は逆に強化のチャンス

サッカーのアジア王者を決めるアジア杯が終わった。優勝候補筆頭といわれた日本をはじめ「W杯常連国」でもある韓国やイラン、オーストラリアなどが決勝に届かなかったことは意外ではあるが、開催国カタールの連覇に驚きはない。アジア杯は、特に開催国が強い大会だからだ。

アジアカップ、準々決勝で敗れたサッカー日本代表【写真:ロイター】
アジアカップ、準々決勝で敗れたサッカー日本代表【写真:ロイター】

長年サッカーを取材してきたライター・荻島弘一氏が総括

 サッカーのアジア王者を決めるアジア杯が終わった。優勝候補筆頭といわれた日本をはじめ「W杯常連国」でもある韓国やイラン、オーストラリアなどが決勝に届かなかったことは意外ではあるが、開催国カタールの連覇に驚きはない。アジア杯は、特に開催国が強い大会だからだ。

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 今回を含めて18回の大会中、開催国が優勝したのは7回。1992年には広島開催で日本が初優勝しているし、前々回の15年大会ではシドニーでの決勝でオーストラリアが初のアジア王座に就いている。

 さらに言えば、圧倒的に開催地域の国が強い。かつてのイスラエル、イランを含め西アジアでの10大会で、西アジア勢以外が勝ったのは2000年レバノン大会と11年カタール大会の日本だけ。他の8回はいずれも西アジア勢が勝っている。逆に、東アジアでの4大会では日韓が2回ずつ優勝。W杯でも開催国や開催地域の利は有名だが、アジアはそれ以上だ。今大会準決勝でヨルダンが韓国を、カタールがイラン(現中央アジア協会所属)を破ったのも、そういう背景が関係しているのかもしれない。

 アジア内で地域差が大きいのは、他の大陸に比べて圧倒的に広大だから。距離的に遠いのはもちろんだが、気候や文化も違う。サッカーのスタイルも異なる。昔から言われるのは西アジアは身体接触に寛容という点。技術に優れる東のチームが体格を生かした西の肉弾戦に敗れるのは、過去にもよく見た光景だ。

 審判の判断基準も東西で異なると言われてきた。厳格にファウルをとる東に比べ、西は多少の身体接触は流しがち。ビデオの発達やVAR導入で基準が一定になってきたとはいえ、かつては判断の違いが「中東の笛」とも言われた。もちろん、スタンドの雰囲気も別物。白い衣装に身を包み拡声器で歌う応援。経験を積んだ選手でさえ「独特な雰囲気」という。西アジアで「アジアで勝つ」のは。本当に大変だと思う。

 もともと今回の開催地は中国が予定されていた。新型コロナの影響で返上しカタール開催となったが、仮に中国で行われていれば違う結果になったはず。そう考えれば、日本が敗れたことも理解できないわけではない。

 とはいえ、イラン戦の後半のように何もできずに一方的に攻められたのは残念。背景に「勝って当たり前」のおごりがあったこと(チームだけでなく、メディアやサポーターにも)も否定できない。確かに「熱量」にも差があった。

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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