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アジア大会40競技で卓球が特別といえる理由 「ガチ」の仮想五輪、1強中国相手に日本が躍動した意味

熱戦が繰り広げられる杭州アジア大会でとりわけ活躍が目立った卓球ニッポン。五輪よりも多い40競技が行われる“アジア版オリンピック”で、変則開催となったパリ五輪前年に躍進した意味を紐解く。(文=荻島 弘一)

女子シングルスの早田ひな【写真:ロイター】
女子シングルスの早田ひな【写真:ロイター】

早田ひな、張本美和・木原美悠組ら女子が躍進

 熱戦が繰り広げられる杭州アジア大会でとりわけ活躍が目立った卓球ニッポン。五輪よりも多い40競技が行われる“アジア版オリンピック”で、変則開催となったパリ五輪前年に躍進した意味を紐解く。(文=荻島 弘一)

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 日本の女子卓球勢が中国で躍動した。杭州で開催中のアジア大会、女子シングルスの早田ひなや同ダブルスの張本美和・木原美悠組が大活躍。日本はもちろん、卓球「王国」の中国でも大きく報じられた。

 世界ランク9位の早田は準決勝で同4位の中国選手を破り、日本勢として29年ぶりの決勝進出を果たして銀メダルを獲得。張本・木原組は銅メダルだったが、準々決勝で世界最強の中国ペアを破り、15歳の張本は団体戦でも可能性の大きさを見せつけた。

 大会ごとに金メダルを量産するアジア大会の中でも、卓球は「ガチ」だ。というと他の競技に申し訳ないが、実施全40競技の中に大会に対する温度差があるのは事実。さらに、1年延期で五輪前年開催となったため、五輪選考大会や世界選手権と日程が重複して選手選考に苦慮する競技団体もあった。

 もちろん、全力で大会に臨んでいる競技もある。五輪では行われない競技にとっては大舞台だろうし、パリ五輪の予選を兼ねている種目も少なくない。それでも、卓球は特別な存在だ。他の五輪競技と比べて、アジアのレベルが比類がないほど高いからだ。

 英国が起源とされ、欧州で発展した卓球は当初、ハンガリーなど欧州勢が強かった。その後、日本の全盛期を経て1970年代に国際舞台に復帰した中国が台頭した。特に、88年ソウル大会で五輪に採用されてからは、中国が世界を席巻。2000年代に入っていからは、男女とも「1強」が続いている。

 過去の五輪で争われた金メダルは37個。うち32個を中国が獲得している。続くのは韓国の3個。東京五輪の混合ダブルスで初めて金メダルを手にした日本を合わせ、36個を中韓日で占めている。銀、銅メダルを含めても全メダルのうち85%以上はアジア勢が獲得。アジア大会は「仮想五輪」といえる。

 バドミントンや飛び込みなどアジアが強い競技は他にもあるが、多くの競技は「アジアで勝っても世界では勝てない」。だからこそ「アジアを制するものは世界を制する」卓球での活躍に、スポットライトが当たる。

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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