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松山英樹に続く日本勢はいるか 可能性感じる中島啓太、久常涼らの憧れ「早くPGAで」

米男子プロゴルフ(PGA)ツアー・ZOZOチャンピオンシップ(アコーディアG習志野CC)は16日、キーガン・ブラッドリー(米国)の優勝で幕を閉じた。前年覇者・松山英樹(LEXUS)は通算3アンダーで40位。「優勝以外は求められていなかった」と悔しがった。一方で、22歳・中島啓太(フリー)と20歳・久常涼(SBSホールディングス)は、通算9アンダーの12位と健闘した。今大会の日本勢には、他にも“ポスト松山”を感じさせる選手がいた。世界最高峰ツアーのPGAに強い憧れを抱き、メジャー優勝を本気で目指す若武者たち。彼らの動きと声を紹介する。(取材・文=THE ANSWER編集部・柳田 通斉)

ZOZOチャンピオンシップで12位と健闘した中島啓太(左)と久常涼【写真:Getty Images】
ZOZOチャンピオンシップで12位と健闘した中島啓太(左)と久常涼【写真:Getty Images】

ZOZOチャンピオンシップ閉幕、あふれる「PGA」への思い

 米男子プロゴルフ(PGA)ツアー・ZOZOチャンピオンシップ(アコーディアG習志野CC)は16日、キーガン・ブラッドリー(米国)の優勝で幕を閉じた。前年覇者・松山英樹(LEXUS)は通算3アンダーで40位。「優勝以外は求められていなかった」と悔しがった。一方で、22歳・中島啓太(フリー)と20歳・久常涼(SBSホールディングス)は、通算9アンダーの12位と健闘した。今大会の日本勢には、他にも“ポスト松山”を感じさせる選手がいた。世界最高峰ツアーのPGAに強い憧れを抱き、メジャー優勝を本気で目指す若武者たち。彼らの動きと声を紹介する。(取材・文=THE ANSWER編集部・柳田 通斉)

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 中島と久常は、ともにトップ10入りのチャンスを逃した。最終18番パー5。中島は4メートルのバーディーパットを外し、久常はピンまで残り58ヤードの第3打をバンカーに入れるミスが響き、ボギーとした。中島は唇を噛み、久常は涙した。トップ10入りなら、翌々週のバミューダ選手権(27~30日)にも出場できることが分かっていたからだ。

 大会中、2人は「早くPGAでプレーできるようになりたい」と繰り返した。中島は14位で第3日を終えると、首位と6打差の状況で「人生を変えられる一日にしたいです。来年、プレーする場所も変えられるという意味です」と言った。要するに優勝狙い宣言。中島は冷静沈着なタイプだが、それほどに世界最高峰ツアーのPGAに憧れているのだ。

 ZOZOチャンピオンシップは2019年10月に第1回大会が開催された。衣料品通販大手の株式会社ZOZO前社長で、ゴルフ好きの前澤友作氏がPGA側のオファーを快諾し、同年から6年契約を結んだ。コロナ禍で米国開催となった第2回を除き、第4回となった今回を含めて通算3回はアコーディアG習志野CCで開催。ゴルフファン、選手、関係者にはこの時季の「大きな楽しみ」になっている。

 昨年大会は松山が優勝し、金谷拓実が7位と健闘するも「PGAで戦えるのは松山のみ」の印象は変わらなかった。だが、今回は松山が本調子ではない中、中島、久常が存在感を示し、ギャラリーを喜ばせた。

 アマチュア世界ランキング1位のキャリアを9月に卒業した中島は、プロ3戦目。大会前は「ショットの調子が悪いままで悔しい」と話していた。だが、JGA(日本ゴルフ協会)ナショナルチーム時代から師事するガレス・ジョーンズコーチに「プロになったのだから、調子が悪くてもスコアを作りなさい」と言われて奮起。海外遠征などで培ってきたコースマネジメント力、ショートゲームの巧みさを生かして順位を上げた。

 久常は第2日からキレのあるショットをピンに絡め、バーディーを積み上げた。国内男子プロでは少数派の高卒選手だが、昨季、下部のABEMAツアー3勝でレギュラーツアー出場権を獲得し、今季シードも決めた。今年に入ってからは、サウジアラビア、タイ、スペイン、韓国の試合に出場。前週は韓国ツアーに参戦し、11月には欧州ツアー予選会に出場する。視線は常に世界にあり、今大会も楽しみにしていた。

 2人に限らず、国内ツアーで躍動する20代選手の大半は「PGAでプレーしたい」と公言している。そして、それだけのポテンシャルも感じさせている。PGA3勝の丸山茂樹は、かつて「タイガーやエルスらと日本人ではエンジンが違い過ぎる」と嘆いたが、22歳で183センチ、86キロの河本力は、今季国内ツアーでドライビングディスタンス1位の326.41ヤードを記録。松山と同様に、PGAのトップ選手にひけを取らないエンジンを持っている。姉の河本結に「常にゴルフに向き合っている」と言わしめる程の努力家で、小技も磨き、ツアールーキーながら今季2勝。今大会は72位で終えるも、「すぐにPGAでやりたくなりました」と言った。

 もっとも、シーズンを通してのPGA出場権獲得には、スポット参戦で優勝するか、米下部ツアーで実績を上げるなどの高いハードルがある。ゆえに彼らは今、国内ツアーを主戦場にしている。そして、480ヤード以上のパー4が5ホール設定された今大会のような「より厳しい設定」を求めている。ドライビングディスタンス13位の久常も「日本の試合では、僕でも2打目がショートアイアンかウェッジを使うことが多いけど、今回はロングアイアンも使えて楽しかった」と声を弾ませた。

 コース設定を厳しくするにもコストはかかるが、国内ツアーの各大会も、アコーディアG習志野CCが実現した「PGA基準」に倣っていく。ツアーをより魅力的なものにし、“ポスト松山”たちの可能性を広げるためにも、そんな時代になってきたと感じている。

(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)

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