なぜ、柔道・大野将平は言葉まで強いのか 他競技の選手すら心が震えた東京五輪の名言
アスリートとして発言に込めている想い「言葉は言霊である」
アスリートの発言について「取り繕うことはできるんじゃないですか」とストレートに言う。
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東京五輪に向けてアスリートの発言が注目を浴びた。1年延期となり、未曾有の新型コロナウイルス感染拡大の渦中、中止の可能性も取り沙汰されながら開催にこぎ着けた大会。さまざまな選手が開催についてコメントを求められた。
「いわゆる“いいこと”を話さないといけない空気はありました。今回は特にコロナ禍だったので、本心かどうかよりいいことを話そうという選手もいたと思います。でも、いいことを話そうとしすぎて、言葉に力がなくなることもあるのではないかと自分自身は感じました」
決して“取り繕う”スタンスを批判する意図はない。
「コロナ禍もあり、国民の皆さんに対してはもちろん、開催してくださったことへの感謝を言うべきという使命感もあったと思います。定型文のように堅くなり、本来の自分が出せていないようなアスリートもいると、インタビューを見ていて思ったこともありました。
でも、言葉は言霊であると思う。その人が歩んできた道のりが人間性となり、言葉の力となり、説得力に繋がっていくと私は信じているので。いくら取り繕っても言葉に重みが出ないこともある。説得力を持つためには結果も必要ですし、常に自分自身が自然体であることも必要です」
金メダル直後のインタビュー、大野は開催について「賛否両論があることは理解しています」と触れ、「ですが、我々アスリートの姿を見て、何か心が動く瞬間があれば本当に光栄に思います。また男女混合団体がありますので、気を引き締めて取り組みたい」と心からの言葉を残した。
独自のアプローチで強い言葉を生み出してきた大野将平。五輪連覇という究極の高みに上り詰めた今、大切にしている言葉があった。
(3日掲載の後編へ続く)
(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)