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ドイツのサッカー大会で見た自然体の光景 「障害を抱えた子供」が仲間と決めたゴール

先日、息子の室内サッカー大会を観戦してきた。U-10の8チームが参加して、2グループに分かれてのグループリーグと最後に順位決定戦という形式だった。試合と試合の合間では子供たちは遊び出す。息子も友達と鬼ごっこを始めたので、僕は他チームの試合を見ることにした。

ドイツで目にした麻痺を持つ子供が仲間として戦える環境【写真:Getty Images】
ドイツで目にした麻痺を持つ子供が仲間として戦える環境【写真:Getty Images】

【連載コラム】ドイツ在住日本人コーチの「サッカーと子育て論」――麻痺を持つ子供が仲間として戦える環境

 先日、息子の室内サッカー大会を観戦してきた。U-10の8チームが参加して、2グループに分かれてのグループリーグと最後に順位決定戦という形式だった。試合と試合の合間では子供たちは遊び出す。息子も友達と鬼ごっこを始めたので、僕は他チームの試合を見ることにした。

 そんな何気なく見ていたある試合でのことだ。途中からどう見ても小学1年生ぐらいの小さな子が出場してきた。最初は「あれ、小さい子だな」くらいに思ったが、どうも動きがぎこちない。怪我でもしているのかなと思ったが、そうではなかった。

 麻痺を持っている子だった。

 その子は他の子供たちに混じって“普通に”プレーをしていた。スピードでもパワーでもテクニックでも勝てない。でも走り続け、戦い続けた。

 試合終了まであと数分というところで、彼の前にボールがこぼれてきた。がむしゃらに右足を振り抜く。ボールは、見事にゴールへと吸い込まれていった。

 ベンチから大きな歓声が上がった。僕を含め観戦していた人はみんな拍手を送った。

 試合終了後、一人で精いっぱいのガッツポーズをしていた。どれほど嬉しかったことだろう。仲間の一人が駆け寄ってきて抱きかかえ上げた。ベンチに戻ると、監督からそっとハイタッチをされた。きっと誇らしかったことだろう。彼が決めたゴールをみんな心から喜んでいる。素敵な光景だった。

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中野吉之伴

1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。

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