バスケでも社会でも大切な「思いやる心」 元日本代表が気仙沼で伝えたこと
遊びの要素も採り入れながら楽しくバスケの基礎を学べるメニューを実施
最初のメニューは鬼ごっこだ。鬼ではない子供たちはコート全面をドリブルしながら捕まらないように逃げる。ただし、移動していいのは体育館の床に描かれた色とりどりのライン上のみ。捕まったら今度は自分が鬼となって追いかける。複数の鬼がいるため、1人の鬼から逃げ切ったと思っても、周りをよく見ていないともう1人の鬼と鉢合わせることも。第2ラウンドでは逃げられる範囲をコート半面に狭め、さらには利き手ではない手でドリブルをするという条件が加わり、難易度がアップ。子供たちは歓声を上げながら、バスケ版鬼ごっこを楽しんだ。
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続いては、ペアを組んでのパス練習だ。「両手の指先でボールを強く押し出すようにワンバウンドで相手の取りやすい位置にパスしてみよう」という渡邉氏の言葉に従う子供たち。両手から片手パス、さらには両手パスながらも片足立ちでバランスを取りながらのパスになると、なかなか思い通りにできないこともある。3人一組となった股くぐりパスになったら尚更だ。パスを出し合う2人の間に、もう1人が両足をグーパーグーパーと開いたり閉じたりしながら立つ。足が開いている時にタイミングを合わせ、股下でワンバウンドするようにパスを通すのだが、ボールは足に当たったりお尻に当たったり。楽しむ子供たちの笑い声が響いた。
咄嗟の判断力を試されたのは、ボールを使わないメニュー「3目並べ」だ。コート中央に置かれた3×3=9つの目印の上に3つのカラーコーンを1つずつ置き、縦横斜めどの方向でも先に3つを一直線に並べたチームが勝ちというゲーム。男子チームと女子チームが目印を挟んで向かい合い、リレー方式で勝負。先頭はどこにコーンを置くのか。続く走者は自分たちの完成を急ぐべきなのか、相手の完成を阻止するべきなのか。流れによって瞬時の判断力が試される。同じチームの仲間からの活発な指示も飛び、白熱した勝負が展開された。
最後は6チームに分かれて、1試合1分30秒の変則ミニゲームを実施。「こっち!」「空いてるよ!」「いいね!」と声を掛け合いながら、コートを縦横無尽に走る子供たち。その楽しそうな様子を、渡邉氏は優しい笑顔で見つめた。