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トップリーグ展望【前編】NZの至宝擁すサントリーを追う存在は…レッドカンファレンス

トヨタ自動車のキーラン・リード【写真:Getty Images】
トヨタ自動車のキーラン・リード【写真:Getty Images】

バレット以外の戦力も充実するサントリーに対抗するトヨタ自動車

 サントリーは、昨年12月26日に行われた東芝との練習試合で仕上がりの早さを印象付けた。持ち味のボールを速く、大きく動かすアタックで主導権を握ることができたのは、ブレークダウンから“生きたボール”をBKに供給したFWの奮闘が背景にある。生きたボール、つまり自分たちの攻撃テンポで、勢いを落とさずにプレー出来たことで、この日が国内デビューとなったSOボーデン・バレットの超攻撃的なプレースタイルも際立っていた。

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 ワールドラグビー年間最優秀選手に2度輝いたニュージーランドの至宝バレットの最大の魅力は、常に動きながらボールをもらい、ラインアタックを加速させるパス、ランにある。ボールの捕球およびパスはラグビースクールでも教えられる基本中の基本だが、プレッシャーを受けながらの精度の高さが他の追随を許さない。後半16分からピッチに立つと、わずか24分間でラン、パス、キック全てに高いスキルを駆使しながら、相手のスペースを突く判断力を披露。自身が奪った1トライと、華麗なオフロードパスによるアシストと、出場時間中にチームがマークした2トライ両方にからむ活躍を見せた。

 この試合を観る限り、サントリーが掲げるアグレッシブ・アタッキングラグビーとバレットのプレースタイルは良好なマッチングを感じさせる。パナソニックとの次戦では、相手の出足の速い防御に苦戦を強いられたが、バレットは「練習試合では出来るだけボールを展開しているが、厳しい試合になればなるほど自分たちでプレーを調整して、キックも使わないといけないだろうと感じている」と、得意の攻撃的なスタイルを封じられたとしても勝つことに特化したプランB、プランCも携えてリーグ開幕に準備を進めている。

 バレット以外の戦力も充実する。昨春には、2019年シーズンの大学日本一を遂げた早大の中心メンバーSH齋藤直人、CTB中野将伍が加入。スーパーラグビー・サンウルブズでも活躍した齋藤は、アタックにテンポを生み出す素早いパスさばきとキック力で日本代表SH流大とのポジション争いに挑む。中野も身長186センチ、体重98キロという日本人BKでは破格のサイズを生かした突破力で、W杯戦士・中村亮土主将、2023年W杯へ期待の梶村祐介、豪州代表サム・ケレビらとの豪華なポジション争いを演じる。2月5日に行われたリコーとの練習試合ではWTBで先発。外国人選手相手にも負けないコンタクトの強さを披露するなど、2つのポジションでメンバー入りに挑む。

 そのサントリーの前に立ち塞がるのがトヨタ自動車だ。2018年シーズンのTLプレ大会「トップリーグ・カップ」では、決勝でサントリーを倒して優勝。いよいよリーグ戦初制覇と意気込んで臨んだ昨季リーグ戦は、開幕わずか6試合で中断が決まった。日本選手権、全国社会人大会と国内タイトルを手に入れてきた古豪にとって、TLの王座につけるチャンスは今季が最初で最後。悲願のTL制覇、そして来季から始まる新リーグへ向けて戦力充実を加速させている。

 伝統の強みは、大型FWがスクラム、ブレークダウンで重圧をかけて主導権を握るストロングスタイルのラグビーだ。6試合で終わった昨季は、2019年W杯日本大会までニュージーランド代表を主将として牽引したNO8キーラン・リード、南アフリカ代表でW杯優勝に貢献した、FBウィリー・ルルーを獲得。今季は日本代表FL姫野和樹がスーパーラグビー・ハイランダーズでプレーするためチームを離れたが、オーストラリア代表主将のマイケル・フーパ―が加わった。リード、ルルー、フーパ―の3人が積み上げた代表キャップの合計は290以上。常に世界最強を争う南半球強豪3か国の代表キャップを、1チームの選手3人だけでここまで保有するのは異例のことだ。

 フーパ―は密集戦でのボール争奪とタックルで、そしてリードはボールキャリーで、トヨタ伝統のFW戦の破壊力を増幅させる。長らく世界最強を、共に主将として争ってきたキーラン・リードと同じチームで戦うことについて、フーパーは「沢山学ぶものがある。多くの成功を収めてきたチームの一員だったので、新しい環境で彼の近くでプレーできるのを楽しみにしている」と意気込みを語っている。

 昨季6戦にフル出場したルルーは、相手防御に体を触れさせない華麗で奔放なステップが持ち味。アウトサイドBKでコンビを組む元7人制日本代表のWTBヘンリー・ジェイミーの相手を抜く能力との相乗効果で、互いの攻撃力を増幅させている。伝統のFW戦に加えて、BKでも相手を苦しめる存在になるはずだ。

 若手日本勢で、世界レベルのFW第3列に食い込む期待が高まるのがNO8吉田杏。帝京大時代から姫野を兄のように慕い、追い続けてきた。入団3シーズン目だが、まだそのポテンシャルを完全に出し切れてはないいわば原石。身長188センチ、体重106キロの大型選手だが、大学時代はWTBでもプレーしたスピード、機動力でレギュラーポジションを獲得できれば、チームの破壊力はさらに強度を増すことになる。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19年と6大会連続で取材。

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