丸刈り強制だった競輪学校の1年間 ケイリン脇本雄太が知る、真の「自主性」の意味
自転車トラック種目の東京五輪代表に決まっている脇本雄太(チームブリヂストンサイクリング)が、「THE ANSWER」のインタビューに応じ、「自主性」の大切さを語った。17年12月のW杯で日本勢14年ぶりの優勝を果たし、今年2月の世界選手権でも銀メダルを獲得した31歳。厳しい競輪学校生活を経験して08年に競輪デビューし、16年に悲願だったリオ五輪出場を果たしたが、自主性の本当の大切さに気付いたのはほんの4年前。“回り道”して得た思考とともに、高校生が「夢へ近づくための方法」を語った。
17年W杯で日本勢14年ぶり優勝、実績十分の31歳を変えた4年前の出会い
自転車トラック種目の東京五輪代表に決まっている脇本雄太(チームブリヂストンサイクリング)が、「THE ANSWER」のインタビューに応じ、「自主性」の大切さを語った。17年12月のW杯で日本勢14年ぶりの優勝を果たし、今年2月の世界選手権でも銀メダルを獲得した31歳。厳しい競輪学校生活を経験して08年に競輪デビューし、16年に悲願だったリオ五輪出場を果たしたが、自主性の本当の大切さに気付いたのはほんの4年前。“回り道”して得た思考とともに、高校生が「夢へ近づくための方法」を語った。
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意外な答えだった。男子ケイリンのエースは、過去を回想して語った。
「本当の意味で『自主性』が大事と気付いたのは、リオ五輪終わってからですね」
中学までは運動部に所属せず、福井・科学技術高で自転車競技を始めた脇本は、わずか1年で国体・少年1000メートルタイムトライアル優勝。高校在学時に「進路として考えるようになった」とケイリンでの五輪代表を目指すようになり、2016年のリオ五輪で出場を果たしている。
傍から見ると、着々と目標を達成してきたようにも見えるが、競技生活で大切な「自主性」の本当の意味に気付けたのは、ほんの4年前だという。一体、どんな“回り道”をしてきたのか。
脇本は高校卒業後、公営競技としての競輪で戦いながら、ケイリンで五輪を目指す道を選び、07年4月に日本競輪選手養成所、俗にいう競輪学校に入所した。厳しい規則や指導が度々フォーカスされる場所だ。現在は染髪せず、清潔感ある髪型であれば問題ないが、脇本が入所した時代は丸刈りが当たり前。8ミリ以上に伸びたらカットしなければならないなど、様々な決まりごとがあった。
当時は早朝6時半に起床し、体操、掃除などを終えた9時から練習を開始。午後には国家試験である競輪選手資格検定のための座学があり、その後も競争訓練を行うというハードスケジュールだった。日曜日以外は自転車漬けの生活。くじけそうな日々もありながら、18歳の脇本は力をつけるために必死だった。
「僕の場合、僕から厳しくしてくれと言って、そこから強くなっている。やらされているだけだったら強くなれない」
当時、心がけていたことが「オン・オフの切り替え」。どんなアスリートでも、1日中100%で居ることは困難だ。だから、計画的に力を入れる場面とそうでない場面を切り分けた。決して手を抜いていたわけではない。参加自由の早朝練習にも計画的に参加していたし、メリハリをつけた鍛錬を意識していた。
「前の週に、来週の練習メニューが送られてくるけど、その練習メニューを見て、集中すべきところはここだな、ここだなと決めて、切り替えていた」