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新年度が始まる米国の学校 「新型コロナと高校運動部」で直面する日本と同じ葛藤

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回のテーマは「新型コロナウイルスと米国高校運動部」について。

新型コロナウイルスと米国高校運動部について(写真はイメージです)【写真:Getty Images】
新型コロナウイルスと米国高校運動部について(写真はイメージです)【写真:Getty Images】

連載「Sports From USA」―今回は「新型コロナウイルスと米国高校運動部」

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回のテーマは「新型コロナウイルスと米国高校運動部」について。

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 米国では、小学校から大学まで9月前後から新年度が始まる。

 新型コロナウイルスの感染拡大や集団感染を避けるため、オンライン授業をする学校区や、対面式でもクラスの人数を半分にしてオンライン授業と併用するところが多い。

 通常の学校生活が送れないなかで、どのようにして運動部活動をするかも、混乱している。生徒の健康を守れるかと同時に、少しでも活動ができるためには、どのようにしたらよいかがせめぎ合っている。

 中学や高校の運動部活動をどのようにするか。まず、各州の定めている感染対策に従わなければいけない。それに基づき、各州の中・高校運動部を統括する連盟や協会が公式戦を開催するかどうかを決める。最後は各学校区や学校長が、州や運動部の統括組織に指針に従っての活動を許可するかどうかを判断しなければいけない。

 筆者の住むミシガン州では、秋季種目のうちアメリカンフットボール部は春季に持ち越しが決定。NCAA(米大学運動協会)のビッグテンというカンファレンスがアメフトを春季に持ち越すとみられており、これを参考にしたものと思われる。

 感染リスクの少ないクロスカントリー部(屋外での3マイル走など)、テニス部、ゴルフ部は予定通り再開する見通し。サッカー部、水泳部、バレーボール部は、感染者数が極めて少ない州北部の一部地域だけは他校との公式戦が可能。しかし、それ以外の地域では、他校との公式戦、練習試合をしてもよいかどうかは州政府の判断を待っている状態だ。ミシガン州の高校運動部を統括する組織は、アメリカンフットボール部も自校の選手だけでの練習は認めるとしているが、これも学校側が練習を許可した場合のみ、という条件がついている。

 学校運動部は学校と切り離せない。学校の教室で生徒たちが集まって授業を受けることは、集団感染のリスクが高まる。それゆえに対面式授業を制限している。それなのに運動部の練習はしてもよいのか。授業はオンラインなのだから、学校運動部の活動も取りやめとするのがはっきりする。実際、州から3月中旬に外出制限指令が出たときは、スポーツ活動もすべてストップした。

 しかし、「学校もオンラインだから、運動部活動もしない」方針には、反論もあり、その理由に頷けるものもある。

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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