球団一筋30年 ロッテ名物ウグイス嬢の誕生秘話「ドームだったら違っていたかも」
マリンの風と入場曲が生んだ独特のコール「サブロ~~~~~」
谷保さんのアナウンスいえば、コールの語尾の音程を高く、伸ばすのが特徴。このスタイルはZOZOマリン名物の強風と密接に関係している。
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各球場のウグイス嬢は代々の先輩がいたり、複数人で担当をしている場合が多く、同様のアナウンスを継承していくスタイルが多い。ただ、ロッテの場合は担当が1人ということもあり、各々が独自のスタイルでコールをしていたようだ。
谷保さんの場合は、川崎球場から現在のZOZOマリンに本拠地を移した92年、強風の中でも聞こえやすいアナウンスを追求し始めて現在のスタイルに行きついた。
「本当に風が強い中ではっきり聞こえるために、なるべく自分が思っているよりゆっくり、はっきり、明るく元気に聞こえるようにしゃべりたいというのがあって、それでちょっと語尾を上げるようになったんです。上がるようになった方が、聞き取れるかなというのが始まりで。
(もし球場がドームだったら違うアナウンスになっていた?)そうだと思いますよ。響き方が球場によって違うので、こんなに伸ばしていたらドームとかだと『ホワンホワンホワン』と反響してしまうとか、はっきりくっきりしゃべらなければいけないというのはあると思います」
試合中の観客の声や球場の雰囲気を感じるため、放送室の窓は少し開けた状態。さながら外野手のように風の強さを読み、強弱をつけていることもあるという。
風以外で選手名コールのタイミング、トーンに大きくかかわってくるのが、入場曲だ。特徴が顕著に表れていたのが2016年に引退したサブロー氏の時。「サブロ~~~~~」と語尾を強調するコールが生まれたのは、あの名曲あってのことだ。
「多分、選手にはネクストサークルから打席に向かうルーティンみたいなものがあって、曲のこの辺までを聞いて打席に入ろうとか、そういうのがあるんですよ。その中で、どこでアナウンスしたら一番いいかとか。
登場曲って私の中ですごく大きくて、登場曲が変わったりすると『あれ、これはどこでアナウンスしようかな?』とか、結構気にしたりしますね(笑)。曲にあわせてトーンを合わせたり下げたり。サブローさんの時は、ゆずの『栄光の懸け橋』。壮大な曲じゃないですか。あの曲の大きさに乗った、という感じもあります」