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部活に必要な“厳しさ”とは? 78歳バレー名将が持論、中学生の「頭をつくる」重要性

坂戸西高時代の教え子で日本代表の米山裕太(中央)。左は現日本バレーボール協会の川合俊一会長【写真:本人提供】
坂戸西高時代の教え子で日本代表の米山裕太(中央)。左は現日本バレーボール協会の川合俊一会長【写真:本人提供】

選手がランニング中に口ずさむ言葉の意味

 桜中は11年に北坂戸中と泉中が統合して開校。坂戸市から部活動指導員を委嘱された萩原さんは、指南役として初年度から育成に当たるが、「勝つため、強くするために始めたのではなく、一番の目的はバレー部の存続なんですよ。地域貢献ですかね」と説明した。

 坂戸市は県中体連の地区割りで鶴ヶ島市、毛呂山町、越生町とともに入間北部地区と呼ばれ、この4市町で活動する男子バレー部は桜中だけだ。少子化と深刻な指導者不足により、部活動は危機的状況にある。

 桜中では『外部指導者、部活動指導員を積極的に活用し、専門的な指導を生徒に提供する』ことを部活動方針に掲げる。スポーツ庁が18年に提言した「学校と地域の協働によるスポーツ環境の整備」を取り入れた形だ。顧問教師はいるが、部を取り仕切るのは萩原さんだ。

 高校生や日本代表の指導はお手のものだが、中学生は初体験。アプローチの仕方は一緒なのだろうか。

「本質的には同じですが、中学生は厳しい練習を受け入れる“頭”ができていないので、それを形成するまでにずいぶんと時間がかかります。細かい指導が必要なんですよ」

 選手はランニングの最中、『て~り(定理)』『こ~り(公理)』『む~り(無理)』と口ずさむ。定まった理屈や公の道理を超越し、多少の無理をしなければ強くなることも勝つこともできない、と理解させながら少しずつ“頭”をつくっていくそうだ。

 明確な目標設定も必須だという。埼玉の中学男子は、19年から富士見市立西中が王者として君臨。全中と関東大会の予選を兼ねた県学校総合体育大会で2連覇中だ。桜中は昨夏の準決勝で対戦し、ストレート負けを喫した。萩原さんは「富士見西を倒すという目標をしっかり定めないと努力のしようがない。そのための“頭”をつくっていくことが大切なんです」と持論を述べる。

 坂戸西高では、ともに日本代表入りした米山兄弟を育てた。兄・裕太(東レ)、弟・達也(サントリー)との逸話も時折、話して聞かせる。

 世界で通用する裕太のレシーブは坂戸西高時代、肘が曲がらないようテープを巻き付け午前零時まで続いた猛特訓によるものだ。ある時、日本体育大4年の達也を代々木公園に呼んでレシーブ練習すると15分でくたくたになった。「きついのは練習が足りないからだ。しっかりやれ」と叱った。日体大は直後の全日本大学選手権決勝で、北京五輪代表の清水邦広を擁する東海大を破って連覇を達成する。

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