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日本の「パワハラ」って知ってますか エディーHCに問う、日本スポーツ界の“病”

2018年の日本のスポーツ界を振り返ると、平昌五輪の金メダルラッシュ、サッカーワールドカップ(W杯)の躍進の裏で、脚光を浴びたのが「パワハラ問題」だ。アメフトの悪質タックルに端を発し、スポーツ指導の在り方を見直す気運が高まった。しかし、日本で「パワハラ」はなぜ起こるのか。指導者と選手の関係性で何が問題なのか。そのヒントを求め、ラグビーの世界的名将、イングランド代表ヘッドコーチ(HC)のエディー・ジョーンズ氏に考えを乞うた。

イングランド代表HCのエディー・ジョーンズ氏【写真:松橋晶子】
イングランド代表HCのエディー・ジョーンズ氏【写真:松橋晶子】

なぜパワハラは起きる? 日本を熟知する世界的名将が“変化なき指導者”に警鐘

 2018年の日本のスポーツ界を振り返ると、平昌五輪の金メダルラッシュ、サッカーワールドカップ(W杯)の躍進の裏で、脚光を浴びたのが「パワハラ問題」だ。アメフトの悪質タックルに端を発し、スポーツ指導の在り方を見直す気運が高まった。しかし、日本で「パワハラ」はなぜ起こるのか。指導者と選手の関係性で何が問題なのか。そのヒントを求め、ラグビーの世界的名将、イングランド代表ヘッドコーチ(HC)のエディー・ジョーンズ氏に考えを乞うた。

【特集】「夢を与えてあげてください」世界一を知る名将が日本の指導者に贈る言葉 / ラグビー エディー・ジョーンズ氏インタビュー(GROWINGへ)

 もともとはオーストラリアで体育教師を務め、ラグビー指導者としては、日本(東海大)で初めてキャリアをスタートさせたエディーHC。W杯優勝などラグビー界で世界屈指の実績を誇るが、社会人トップリーグのほか、日本代表を率いて15年W杯で「日本スポーツ史上最大の番狂わせ」と言われた南アフリカ戦勝利を演じるなど、日本人を指導しても数々の栄光を知る名将だ。日本人、日本の文化を熟知し、今なお、定期的に日本でのラグビー教室も開催している。

 日本のスポーツ指導を知り尽くした58歳は、昨今のスポーツ現場の問題をどう見ているのか。「THE ANSWER」の独占インタビュー後編では、日本の指導者と選手の関係性について直撃した。

 ◇ ◇ ◇

 まず、エディーHCに聞いた。「パワハラ」って言葉、知っていますか――。すると「ああ、知っているよ」と頷いた。その発端となったのは、アメフトの悪質タックル問題だ。「選手とコーチの関係性において何よりも重要なことは、双方がしっかりと信頼を築かないといけないということだ。選手だけでなく、コーチも選手をリスペクトしないといけない」と印象を語った。

 なぜ、スポーツにおいてパワハラは起きてしまうのか。エディーHCの目はこうだ。

「自分がやらないことは選手に『やれ』とは言わない。ルール違反がいい例だ。そういう原理のもとに接していけば、大丈夫なはず。にも関わらず、信頼、リスペクトが崩れ、それぞれのルールを壊すと、こういうことが起こる。日本ではコーチが権力を持ち、腕組みしている姿が象徴的だ。指導者はみんなより上だというのが傾向としてあるだろう」

 悪質タックル問題に関していえば、監督、コーチが主導し、選手に「ルール違反」を強要したとされる。エディーHCの考えによれば、選手に対する「リスペクト」の欠如が一因にあるということだ。エディーHCは今回の件について「それほど、驚きはしなかった」と率直に言った。その裏には長年に渡る、日本のスポーツ現場の“空気”を感じていたという。

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エディー・ジョーンズ

THE ANSWERスペシャリスト ラグビー指導者

1960年1月30日生まれ。豪州出身。現役時代はフッカーを務め、ニューサウスウェールズ州代表。92年引退。教職を経て、96年に東海大コーチになり、指導者の道へ。スーパーラグビーのブランビーズなどを経て、01年豪州代表HC就任。03年W杯準優勝。イングランドのサラセンズ、日本のサントリーなどを経て、12年日本代表HC就任。15年W杯は「ブライトンの奇跡」と呼ばれる南アフリカ戦勝利を達成した。同年、イングランド代表HCに就任し、19年W杯は自身2度目の準優勝。近著に「プレッシャーの力」(ワニブックス)。

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