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部活引退でスポーツを離れる日本の悲しい現状 “万年補欠”は「仕方がないこと」ではない

日本でサッカーの指導に関わる方々と交流していると、「ドイツには『小学生だけ』とか『中学生だけ』のクラブチームはないんですか?」と質問されることがある。ドイツのサッカー指導者から見ると、逆に「日本には幼稚園からおじいちゃん、おばあちゃんまで所属できるサッカークラブってないんですか?」と聞きたくなるかもしれない。

ドイツにはアマチュアであっても生涯現役のサッカー選手でいられる環境がある【写真:Getty Images】
ドイツにはアマチュアであっても生涯現役のサッカー選手でいられる環境がある【写真:Getty Images】

【ドイツ在住日本人コーチの「サッカーと子育て論」】地元クラブで生涯プレー、ドイツのスポーツに“引退”はない

 日本でサッカーの指導に関わる方々と交流していると、「ドイツには『小学生だけ』とか『中学生だけ』のクラブチームはないんですか?」と質問されることがある。ドイツのサッカー指導者から見ると、逆に「日本には幼稚園からおじいちゃん、おばあちゃんまで所属できるサッカークラブってないんですか?」と聞きたくなるかもしれない。

 一般的に、子供が「サッカーをやりたい」と言い出したら、親は自宅から通えるサッカークラブを探して、子供を入団させる。子供は自分と同じ生まれ年の仲間に混じってサッカーを始め、一緒に成長していく。クラブのレベルや方針が合わないなどの理由で他のクラブに移ることもあるが、そうした事情がない限り、基本的に子供は同い年の仲間たちとずっと持ち上がっていく。本人がサッカーが好きで、自分がプレーし続けられる状態にある限り、同じチームでずっとプレーすることができるのだ。

 ドイツのサッカーには「引退」というものがないといっても過言ではない。「サッカー選手は引退するじゃないか!」と言う人もいるかもしれないが、あれはプロ選手としてのキャリアに一区切りをつけるというだけで、本人さえその気なら、アマチュアであっても生涯現役のサッカー選手でいられる環境がドイツには用意されている。事実、多くの元プロ選手は引退後も下部リーグでいつまでもボールを蹴っているのだ。

 もちろん、途中でサッカーから離れていく子だってたくさんいる。怪我をした、勉強や仕事が忙しい、他にサッカーよりも好きなことができた、と理由は様々ある。それはたぶん、子供たちの成長の中で自然なことなのだ。

 ただサッカーを辞める、離れていく子が、日本のように本当はサッカーが好きで、そのスポーツが好きでもっとやりたいのに、プレーする機会や環境がないがために、同じタイミングで同じ年齢の子たちがあらかじめ定められていたシナリオがあるみたいに、一斉に引退・卒団していくのはやはり極端すぎないだろうか。もちろん、欧州のスポーツクラブと日本の部活動とのあり方・捉え方には諸々の違いがあるのだが……。

 日本にも、子供の目線に立つことを忘れない指導者がたくさんいるのを僕は知っている。ただその一方で、「中学3年間、ずっとベンチにも入れなかったから、高校ではサッカー辞めました」「中高と6年間、サッカーはずっとやっていたけど公式戦には全然出してもらえませんでした」という話も当たり前のようによく聞く。サッカーだけでなく、他のスポーツでもだ。

「仕方がないよね」

 そう言って話をまとめようとする。

 違う。断じて違う。仕方がないなんてことじゃないんだ。

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中野 吉之伴

1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。

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