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偏差値70、愛知の進学校・時習館 週6日の部活後に塾通い、熊谷実華が笑った最初で最後の全国の夏

2日に開幕した陸上の全国高校総体(インターハイ)は競技のみならず、勉強にも励みながら戦う文武両道の選手たちもいる。偏差値70、愛知の進学校・時習館で女子400メートル障害に出場した熊谷実華(3年)は週6日の部活終わりに塾に通う生活ながら晴れの舞台に立った。3日の予選で1分04秒04の組5着に終わり、目標としていた準決勝進出は叶わなかったものの、同級生の小原すずか(3年)と切磋琢磨し、辿り着いた最初で最後の全国の夏になった。(文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

女子400メートル障害に出場した時習館・熊谷実華【写真:荒川祐史】
女子400メートル障害に出場した時習館・熊谷実華【写真:荒川祐史】

陸上インターハイで戦う文武両道の選手たち

 2日に開幕した陸上の全国高校総体(インターハイ)は競技のみならず、勉強にも励みながら戦う文武両道の選手たちもいる。偏差値70、愛知の進学校・時習館で女子400メートル障害に出場した熊谷実華(3年)は週6日の部活終わりに塾に通う生活ながら晴れの舞台に立った。3日の予選で1分04秒04の組5着に終わり、目標としていた準決勝進出は叶わなかったものの、同級生の小原すずか(3年)と切磋琢磨し、辿り着いた最初で最後の全国の夏になった。(文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

 走り終えたばかりなのに、レースの感想を問うと、すらすらと言葉が出てきた。

「北海道は愛知と気候が違って寒いし、今日は特に雨で調整が難しくて。初の全国の舞台というのもあって、いろんな『初めて』という条件が重なり、脚も3台目で合わず、ベストから2.5秒近く落ちちゃった。普段通りの力を出せれば、準決勝に通れたかなというタイムだったけど、でもこの失敗も良い経験になったと思う。大学生も陸上を続けるつもりなので、この経験を生かして全国でまた挑戦できるように頑張りたいです!」

 息を切らしながらも、努めて前向きに自己分析し、そして明るく熊谷は笑った。

熊谷が文武両道で辿り着いた最初で最後の全国の舞台だった【写真:荒川祐史】
熊谷が文武両道で辿り着いた最初で最後の全国の舞台だった【写真:荒川祐史】

 時習館といえば、1893年に創立され、偏差値70とも言われる名門県立校。3つ上の兄も通っていた熊谷は「勉強も部活もめっちゃ頑張っていて、行事も楽しそうで。学力が高いのに、真面目というより面白い子が集まっているので、めっちゃ魅力的な学校だなと思って選びました」という。

 その日常は聞いていると、とてつもなくハードなもの。週6日の練習を終えると、毎日塾に通う。平日は午後6時過ぎまで練習し、電車に40分乗って7時~10時は塾で受験勉強。「すごく大変です。でも、意外と運動した後の方がリフレッシュして頭が働きますよ!」とあっけらかんと笑う。

「陸上一本、勉強一本だとどっちかに集中して、それがうまくいかないとダメになる。どっちかだったら息抜きにもなるし、どっちも頑張れるのが良いところ」

 陸上と勉強を互いの支えにしながら文武両道に励んだ高校生活。もともと100メートル障害と並行したが、2年生から400メートル障害に絞った。1分間トップスピードを維持しながら10台のハードルを飛び越える、特にトラックの中でも特に過酷な種目だが、その魅力に取りつかれた。

「長いようであっという間。気づいたらラスト100メートル。100メートル障害はちょっとでも崩れたら全部崩れるけど、400メートル障害は巻き返しも利くし、私は前半型だけど、人それぞれ走り方がみんな違う。ラストで抜かされることもあるし、最後の最後まで勝負が決まらない。それが面白いんです」

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