前橋育英、13年ぶりの優勝に王手 名将・山田監督が感謝した「夏の特別ルール」とは
名将が、否定的だった「夏の特別ルール」に感謝した。徳島県で開催されている全国高校総体(インターハイ)サッカー男子は29日に準決勝を行い、前橋育英(群馬)はPK戦の末に前回準優勝の米子北(鳥取)を下して決勝進出を決めた。
全国高校総体サッカー男子、前橋育英が米子北をPK戦の末に破り決勝進出
名将が、否定的だった「夏の特別ルール」に感謝した。徳島県で開催されている全国高校総体(インターハイ)サッカー男子は29日に準決勝を行い、前橋育英(群馬)はPK戦の末に前回準優勝の米子北(鳥取)を下して決勝進出を決めた。
試合全体を通して前橋育英が主導権を握る時間の多いゲームだった。しかし、立ち上がりの15分は完全に米子北のペース。前線から精力的にプレッシャーをかけ、前橋育英が得意とするパスワークを寸断してショートカウンターを多く仕掛けた。前橋育英が右MF山田皓生(3年)をわずか15分で交代させたことからも、相手ペースに引き込まれていたことが分かる。前半16分にはミドルシュートをゴール枠内に飛ばされ、MF徳永涼(3年)がカバーする危険な場面もあった。試合時間が17分に差しかかったところで、夏の特別ルールである「クーリングブレイク」となり、両チーム全選手がベンチに下がった。
前橋育英の山田耕介監督は「今まで、ブレイクタイムなんて必要ないと思っていたんですよ。(元来は)サッカーにない(ルール)じゃないですか。でも、今日は絶対にブレイクタイムが必要だと思いましたよ。本当に助かりました。あそこで冷静になって、リズムが変わってきた。ブレイクタイム様々という感じでした」と苦笑いで試合を振り返った。
2016年に初めて導入された「クーリングブレイク」は、気温が高い場合、熱中症対策としてベンチなどの日陰で3分間の休憩を取るシステムで、主に夏場に採用される。これとは別に、ベンチ前で水分を補給する給水タイムも設けられるが、1分程度。クーリングブレイクは3分ほどあり、全員が1か所に集まって話し合える機会となるため、体を休めるばかりでなく、戦術確認等を行う時間としても機能する。そのため、本来ならば選手が試合の流れのなかで判断していくことをチームや指導者の力で補える部分があり、健康管理面ではメリットがあるものの、採用に否定的な意見もある。
山田監督もその1人だったわけだが、この日はブレイクタイムに救われた。FW小池直矢(3年)は「最初は相手のペースで進んで、みんなが慌てたり、イライラしたりしていた。クーリングブレイクで監督の指示を受けて、みんなで冷静に一つになって、自分たちのペースになったので、そこは良かった」と、その雰囲気を振り返った。