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部員ギリギリ…野球人口の急減に立ち上がった高校生 激しい競争「eスポーツも」イベント開催で探す打開策

70人の子どもたちに野球の楽しさを伝えた多摩高野球部【写真:羽鳥慶太】
70人の子どもたちに野球の楽しさを伝えた多摩高野球部【写真:羽鳥慶太】

いつか野球部員になる君へ「楽しいよって伝えたい」

 そこで、ただ手をこまねいているわけにはいかない。鈴木は「しょうがない部分はあるんですが、僕らは野球は楽しいよって伝えたいなと思って。チームに入れない子にも、遊ぶ場所からスタートしてほしいなと思いました」。子どもたちを楽しませる方法にも、昨年の経験が生きた。

「昨年の子どもたちに何が楽しかったかと聞くと、僕たちが予想していたバッティングより、ポイントを集めることに興味があるようでした。できるようになるのが楽しいという結果が出たので、とにかく楽しくやろうというところから、今年は少し指導してみようと考えました」。バットにボールが当たり、ゴロやフライを取れると子どもたちに笑顔が広がった。

 さらに、野球をしたいという子どもたちの希望を“阻む”要因にも調査は及んだ。少年野球に入っている子どもたちの保護者に、チームに入る際の不安や、続ける上で大変なことはあったかというアンケートを行った。回答数の上位は「保護者の当番制」「長時間の練習など体力面」「親子それぞれの人間関係」といったもの。少しでも前向きになってもらうため、少年野球チームの指導者から保護者に、生の声を伝えてもらう場も設けた。

 日本高野連の発表による2024年の硬式登録部員数は12万7031人。10年前の17万0312人と比べると実に25パーセントの減少だ。現在、多摩高野球部では選手12人がプレーするが、1年生はわずか4人。今春の新入生から5人集められないと、秋には再び活動の危機を迎える。稲毛瞭介(2年)は「もう、4月に集めるだけでは厳しいと思っているんです。なので中学生に声をかけたりとか」と、部員を増やすにも、もっと長い目で取り組む必要性を訴える。

「地域の公園で野球をやっている子も減っている気がしています。ボール遊びできる場所をそもそもあまり見ない。今は甲子園とかは盛り上がっていますけど、このままだと見る人も減っていくことになると思うんです」

 稲毛は野球の魅力を「団体競技の中に個人競技がある部分かなと思います。投手と打者は1対1の勝負ですが、そのほかのプレーでは仲間同士カバーしあえる場面が多い」と表現する。この日集まった子どもたちからは「楽しかった!」「もっとやりたい!」という声が上がった。この研究は今後も続けて行く予定だ。高校生がまき続ける種が、あすの野球界を盛り上げる。

(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)

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