今年29歳、東大院から箱根駅伝「走りたい」 博士4年目、異端の高学歴ランナー・古川大晃に湧き上がる欲
9月19日から4日間行われた第93回日本学生陸上競技対校選手権(日本インカレ)。大学日本一を懸けた熱戦を取材した「THE ANSWER」は文武両道で部活に励む選手や、怪我や困難を乗り越えた選手など、さまざまなストーリーを持つ学生を取り上げる。今回は男子1万メートル決勝に出場した東大・古川大晃(博士4年)。序盤から積極的なレースを展開し、日本人4位となる全体10位だった。熊本大を卒業し、九州大大学院に進学。現在は東大大学院博士4年目だ。学業でも“走”を追求する異色のランナーの唯一無二のスタイルを聞いた。
陸上・日本インカレ
9月19日から4日間行われた第93回日本学生陸上競技対校選手権(日本インカレ)。大学日本一を懸けた熱戦を取材した「THE ANSWER」は文武両道で部活に励む選手や、怪我や困難を乗り越えた選手など、さまざまなストーリーを持つ学生を取り上げる。今回は男子1万メートル決勝に出場した東大・古川大晃(博士4年)。序盤から積極的なレースを展開し、日本人4位となる全体10位だった。熊本大を卒業し、九州大大学院に進学。現在は東大大学院博士4年目だ。学業でも“走”を追求する異色のランナーの唯一無二のスタイルを聞いた。
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留学生ランナーに食らいついた。1周目から果敢に先頭に出た古川は、2周目以降、留学生6人の集団に吸収されても粘って最後尾を追走。6000メートル付近で離され、終盤には順位を落としたが、30分02秒92で日本人4位となる全体10位と健闘した。
「日本人選手として1人でついていけるとは思っていなかった。驚きとわくわくを感じて走った」と清々しく話し、「留学生ランナーのリズムの安定感やリラックス感という面ではかなり良い影響をもらえた」と収穫も語った。
熊本の八代高を卒業し、熊本大に進学。九州大大学院で修士号を取得し、現在は東大大学院の博士4年目となる。学業でも走ることを追求し、研究テーマの1つには「追尾走(人の後ろについて走る状況)」がある。競技と直結するテーマだが、これらを無理に結びつけないのが古川のスタイルだ。
「走るのが速くなりたいから研究しているというのはあまりない。競技をしている中で『不思議だな』『面白いな』と思うから研究の欲が湧いてくる」と説明。「走っている時は感覚的な部分を大事にして、ふと科学を取り入れる感じ」と話す。
高校から本格的に始めた陸上競技。10月には29歳になる。14年間、走り続けて感じる魅力とは――。18秒間、目を瞑ってから言葉を絞り出した。
「今までになかった自分の走りができるという1つ1つが嬉しい。終わった後のほっとした感じがすごく好き」
異色のランナーが今もなお、夢見る舞台は箱根駅伝だ。博士1、2年目では選抜チームとなる「関東学生連合」に選出されるも走れず、今年は学連選抜が結成されなかった。古川にとって次が最後のチャンスとなる。「是が非でも走りたい」。走ることを追求し、楽しさを知る28歳が箱根路へ思いを馳せた。
(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)