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大谷翔平の復活に欠かせない「精神面の強さ」 TJ手術か保存療法か、復帰プロセスを専門家が解説

右肘の内側側副靭帯損傷と診断されたエンゼルス・大谷翔平投手について球団は24日(日本時間25日)、今季の残り試合では登板しないと発表した。2018年にトミー・ジョン(TJ)手術を受けていた二刀流のスーパースターのキャリアにとって重要になる2つの選択肢と、予想される復帰へのプロセスについて、トップアスリートの専属トレーナーを務める芝浦田町スポーツ整骨院・はり治療院の新盛淳司院長が解説してくれた。

レッズ戦でマウンドを降りるエンゼルスの大谷翔平【写真:ロイター】
レッズ戦でマウンドを降りるエンゼルスの大谷翔平【写真:ロイター】

損傷した右肘の「内側側副靭帯」の治療法とは

 右肘の内側側副靭帯損傷と診断されたエンゼルス・大谷翔平投手について球団は24日(日本時間25日)、今季の残り試合では登板しないと発表した。2018年にトミー・ジョン(TJ)手術を受けていた二刀流のスーパースターのキャリアにとって重要になる2つの選択肢と、予想される復帰へのプロセスについて、トップアスリートの専属トレーナーを務める芝浦田町スポーツ整骨院・はり治療院の新盛淳司院長が解説してくれた。

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 本当に悲しいニュースです。大谷選手は右肘の内側側副靱帯の損傷と発表されましたが、まずはどこまでの損傷具合なのかを見極めることが大事になります。

 そして、二刀流を続けるために手術に踏み切るのか、保存治療を選ぶのか。この2つの選択肢が横たわります。

 一般的に肘の内側側副靱帯損傷の治療法としては、肘以外から腱などを移植するトミー・ジョン手術(肘内側側副靱帯再建術)か、PRP療法を含む保存療法があります。

 PRP療法とは、自身の血液から傷を治す成分である血小板が多く含まれる部分を抽出したのち、再度患部に注入する療法で、大谷選手は2018年にエンゼルス入団時に予防的措置で右肘にPRP療法を行った経緯があります。

 保存治療の場合、軽度な部分損傷の場合は手術より早期復帰が可能なケースもありますが、損傷の程度を画像などで詳細まで見極めるのが難しいなどの理由で、完全復帰に至らないリスクがあると言われています。

 大谷選手は2018年にトミー・ジョン手術を経験しています。打者としての試合復帰まで約7か月、投手として本格復帰まで3年弱の期間を要しています。

 トミー・ジョン手術ですが、2度以上の手術を受けたケースはそこまで多くありません。回復や復帰時のパフォーマンスにも個人差が大きい印象があります。それでも、以前の競技レベルまで復帰する確率は高いものの、復帰までの時間はよりかかるとも言われています。

 大谷選手にとっては、PRP療法とトミー・ジョン手術のいずれも体験済みであることは大きいと思います。治療の効果、リハビリのプロセスや、復帰時にもセットバックを経験していることは、復帰への道のりの不安を軽減できるのではないでしょうか。聡明な大谷選手だけに、判断材料がすでにしっかりと揃っていることは重要なことだと思います。

 リハビリは長期に渡るので、患者さん自身のメンタルの強さも必要になりますし、治療する立場としては回復のみならず、メンタルサポートも重要な役割になります。

 ダブルヘッダーの初戦で豪快なホームランを打ち、降板後の検査で靭帯損傷を知った上で2試合目でもヒットを放ち、対戦相手と談笑する姿が印象だった大谷選手。本人の心情を量る事は出来ませんが、強いメンタルと冷静さを合わせ持った選手だと思います。フィジカル同様に、精神面の強さはリハビリの道のりで順調な回復の促進することも期待できます。

 まずはセカンドオピニオンも含めて損傷の程度を評価し、今後の選手としてのプランなど加味して判断することになると思いますが、本人の決断を尊重し応援したいです。

(THE ANSWER編集部)

新盛 淳司

芝浦田町スポーツ整骨院・はり治療院院長

柔道整復師、鍼灸師

新浦安しんもり整骨院入船院、新浦安しんもり整骨院今川院代表も務める。関節ニュートラル整体普及協会会員。サッカー元日本代表MF中村俊輔さんをセルティック時代から専属トレーナーとして支えるなど、トップアスリートのケアにも従事。

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