[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

カーリング、実は体力が必要なワケ 五輪で勝敗を分ける「余力」の有無

98年の長野五輪で正式採択されて以来、日本で高い注目度のある競技の一つ、カーリング。平昌五輪では8日から混合ダブルスがスタートし、14日から日本の男子、女子の予選がスタートした。開幕直前に行われた「第35回 全農 日本カーリング選手権大会」で優勝し、3月の世界選手権出場を決めた女子の「チームフジヤマ」こと、富士急のフィジカルトレーニングを監修する岡田隆氏(日体大准教授)に、カーリング競技に必要とされるフィジカル要素について聞いた。

平昌五輪に参加中の女子日本代表【写真:Getty Images】
平昌五輪に参加中の女子日本代表【写真:Getty Images】

カーリングこそ体力の強化を…専門家が語る“フィジカル要素”の必要性

 98年の長野五輪で正式採択されて以来、日本で高い注目度のある競技の一つ、カーリング。平昌五輪では8日から混合ダブルスがスタートし、14日から日本の男子、女子の予選がスタートした。開幕直前に行われた「第35回 全農 日本カーリング選手権大会」で優勝し、3月の世界選手権出場を決めた女子の「チームフジヤマ」こと、富士急のフィジカルトレーニングを監修する岡田隆氏(日体大准教授)に、カーリング競技に必要とされるフィジカル要素について聞いた。

【注目】育成、その先へ 少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信する野球育成解決サイト『First-Pitch』はこちらから

◇ ◇ ◇

 “氷上のチェス”と言われるカーリングは、戦略やそれを実行する技術面が特に注目されます。ですが近年、国内ではフィジカルトレーニングも重視する流れがあり、現在、トレーニングを監修しているチーム富士急でも、体力強化、特に「余力」をつけることを目的としたトレーニングに力を入れています。

 私は全日本の柔道や水球のフィジカルトレーニングも担当していますが、カーリングの競技特性から、前者で要求されるような瞬発力や当たりの強さといった要素は、試合中ほとんど必要とされません。彼らに必要なのは、精密に肉体をコントロールする技術。特に氷の上で体を安定させ、かつ正確にストーンを投げるというプレーは、肉体を動かす技術が高くないと成立しません。

 例えば、試合の肝になるショットの際、選手は足を前後に大きく開く広げた体勢でストーンを投げます。このとき、股関節の使い方が左右で異なるため、体に左右差が生まれ、かつ、ねじれた状態になります。その上、かがんだ姿勢で、腕や上半身を精密にコントロールしなければならない。これには高度な技術が要求されます。

 実際に前後開脚をしながら体を倒してみると、いかに困難なプレーであるかを実感できると思います。筋肉は過度に伸ばすと、何もできなくなる(力が入らなくなる)性質があります。ですから大抵の人は、体を思い通りに動かそうとしても動かせません。カーリングの選手たちは「何もできない」という肉体的に不合理なポジションで、体を精密にコントロールし、安定したパフォーマンスを行っているのです。

1 2

岡田 隆

1980年、愛知県生まれ。日体大准教授、柔道全日本男子チーム体力強化部門長、理学療法士。16年リオデジャネイロ五輪では、柔道7階級のメダル制覇に貢献。大学で教鞭を執りつつ、骨格筋評論家として「バズーカ岡田」の異名でテレビ、雑誌などメディアでも活躍。トレーニング科学からボディメーク、健康、ダイエットなど幅広いテーマで情報を発信する。また、現役ボディビルダーでもあり、2016年に日本社会人ボディビル選手権大会で優勝。「つけたいところに最速で筋肉をつける技術」「HIIT 体脂肪が落ちる最強トレーニング」(ともにサンマーク出版)他、著書多数。バズーカ岡田公式サイトhttps://bazooka-okada.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集