「世界水泳カウントダウン連載」特別編―アーティスティックスイミング・乾友紀子

　水泳界の“世界一決定戦”世界水泳福岡（テレビ朝日系で中継）が7月14日に開幕する。2001年以来22年ぶりの日本開催。「THE ANSWER」では7月23日の競泳開幕30日前から「テレビ朝日×THE ANSWER」としてタッグを組み、様々な企画を実施する。その一つがカウントダウンでお送りする「ウルトラ連載」。出場選手のインタビューに加え、特別企画を織り交ぜながら大会を盛り上げる。

【注目】DAZNは年間プランがおトク！　プロ野球、F1、国内サッカー、ゴルフ、テニス…見られる競技が盛りだくさんのDAZNはこちら

　ここまで競泳を中心としてきたが、13日の第23回は特別編。14日に開幕するアーティスティックスイミング（AS）の乾友紀子（井村ク）が登場する。昨年大会は日本人初となるソロ種目で優勝。8大会連続出場となる32歳は井村雅代コーチとの二人三脚でルール変更の壁を乗り越え、連覇の偉業を狙う。

　◇　◇　◇

　日本の美と強さを表現し、再び世界の頂点にのぼる。乾は女王の気概を漂わせた。

「日本の福岡での世界水泳を私も心待ちにしているので、そこで今までやってきたことを思いっきりぶつけたいと思います。（女王として）最後まで隙を見せない。福岡で泳げる喜びを噛み締めながら、最後まで勝負にこだわってやりたいと思っています」

　2008年、18歳で初めて日の丸を背負った。世界水泳は09年に初出場。15、17、19年大会で計6つの銅メダルを獲得した。過去3度出場した五輪は、16年リオのデュエットとチームでともに銅メダル。21年東京大会後はソロに専念し、長く日本代表を率いた井村コーチと二人三脚でプログラムを磨いた。

　迎えた昨年の世界水泳。確かな表現力と技術力で偉業を成し遂げた。テクニカルルーティンを制し、日本人初となるソロ種目で世界一を達成。さらにフリールーティンとのソロ2冠に輝いた。30歳を超えても過酷な種目で戦い続ける第一人者。前回、日本で開催された01年大会では先輩たちの姿を憧れの眼差しで見つめた。今度は自分が次世代にバトンを繋ぐ番だ。

　しかし、今季は大きな方針転換を強いられた。ルール改正だ。100点だった得点上限の撤廃、演技構成が事前申告制に、全体を通しての評価から技ごとに採点する方式になった。特に3つ目の改正によって、得点のベースは技の難易度に割かれることに。難易度を上げれば高得点となるが、表現力や芸術性を届ける時間が少なくなった。

「1曲の中で3分の2の時間が脚技。今のルールだと、どの曲をやっていてもみんな同じような演技に見えてしまう。もどかしい気持ちはあるんですけど、そんな中でも私にしか泳げない演技を見せていけるようにしたい。理想はあるけど、結果が全て。優勝に匹敵する難易度の演技をやるしかない。『勝つために』ということを一番に考えてやっています」

　20年以上かけて積み上げたものを作り直さなければならない。高得点を狙える高難度の脚技に挑戦した。水中で脚技を支えるには腕の力が必要。負担が大きくなるため、上半身を強化した。心肺機能を高めるためにランニング、自転車トレーニングにも着手。これまでは脚のプロポーションが崩れることから、井村コーチが誰にもやらせなかった練習法を解禁した。