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生理前にあらわれる不調「私、もしかしてPMS?」 心と体の代表的な症状、15個のCHECKリスト

チームメートや監督にイライラ PMSになったときに意識してほしいこと

 PMSになるはっきりとした原因はわかっていませんが、女性ホルモンの急激な変化が、脳から分泌される神経伝達物質などに影響を及ぼすためと考えられています。

 残念ながらPMSの症状を魔法のように消し去る方法はありません。

 でも、ココロの状態は「この原因はきっとPMSだな」と自覚するだけでも、良くなったり、コントロールできるようになったりします。

 PMSは精神状態がネガティブになるのが特徴です。例えば、チームメートや指導者にイライラしたり、なんとも表現できない感情が突然、沸き上がったりします。

 また、落ち込みやすくなり「調子が出ないのは自分の努力が足りない」「チームのみんなに迷惑をかけてしまう」と自分を責める気持ちが止まらなくなる場合もあります。

 そうなったときは、まずは大きく深呼吸を。そして、「この気持ちは相手のせいでも自分のせいでもなく、生理前だからだ」と、自分の感情を、一歩引いたところから眺めてみてください。たったこれだけのことで、気持ちが落ち着き、感情をコントロールできるようになります。

 また、PMSによる体の不調の治療には、低用量ピルが有効とされています。体の症状が、日常生活に支障をきたすほどツラい、あるいは大事な試合に影響することを避けたい場合、婦人科の医師に相談するのも一つの方法ですよ。

 さて、PMSは指導者の間でも、理解が浸透していない問題があります。

 生理中の症状でないことから、「コンディションが悪いのは本人のやる気がないからだ」と指導者から判断されるケースも少なくないのです。

 ある女子大学生は、高校まで水泳選手として活躍していました。彼女の場合、PMSの症状が重く、生理前はいつも練習についていけなかったり、タイムが落ちたりしていたそうです。

 指導者は若い男性。生理前に調子を崩すと、ただただ怒られるという指導が続いたそうですが、「PMSと言ってもわからないだろうし、言ったところで解決しないだろう」と、伝えることも諦めていたそうです。

 指導者の皆さんには、女性の体の特性を理解し、コンディション低下の要因に月経が絡むこともあることを知ってほしいと感じますし、知るだけで、選手への対応の仕方も変わると思います。

 また、しっかり学ばれた方も、調子が悪い選手に対し、いきなり「生理か?」「PMSか?」など断定せず、「コンディションはどうだ?」とまずはさり気なく問いかけてみてください。

 選手のなかには、「男性の先生に生理の状態について言いたくないし、知ってほしいとも思わない」という意見もあります。

 指導者側も辛抱強く、耳を傾けるなど、選手自身が自発的に相談できるよう、話しやすい雰囲気を作ることも大事ではないでしょうか。

(THE ANSWER編集部)


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須永 美歌子

日本体育大学教授、博士(医学)。日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)、日本陸上競技連盟科学委員、日本体力医学会理事。運動時生理反応の男女差や月経周期の影響を考慮し、女性のための効率的なコンディショニング法やトレーニングプログラムの開発を目指し研究に取り組む。大学・大学院で教鞭を執るほか、専門の運動生理学、トレーニング科学の見地から、女性トップアスリートやコーチを指導。著書に『女性アスリートの教科書』(主婦の友社)、『1から学ぶスポーツ生理学』(ナップ)

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