「え、ちょっとヤバいぞ」血液検査で知った現実 卵子凍結で手にした、人生を天秤にかけない生き方――柔道・角田夏実

競技と出産を「人生の別の軸として考えられるように」
近年、角田さんのような社会的適応を目的とした卵子凍結に関心が集まっている。23年には東京都が、社会的卵子凍結に伴う費用助成制度を開始した。
本当にしんどかった重い生理痛 婦人科医に相談、服用し始めたピルが私には合った――サッカー・仲田歩夢選手【私とカラダ】
卵子は加齢により急激に減少する。妊娠を望むもののパートナーがいない、キャリア形成への影響など、さまざまな理由ですぐに妊娠・出産ができない場合、卵子を凍結保存することで、将来の妊娠の可能性を残す。
角田さんもパリ五輪出場を目指していた20代後半の時期に、自身の今後のキャリアについて考えることがあったという。
「今回も、もしパリで金メダルを取っていなかったら、『もうあと4年頑張る!』となっていたかもしれません。でも、卵子凍結によって、競技か出産か、仕事か出産かと、天秤にかけるのではなく、人生の別の軸として考えられるようになりました」
自分の体とちゃんと向き合い、知ることで、今後、どのように対処すればいいのかも見えてくる。それは、競技に集中することにもつながる、と言葉に力を込める。
「例えば私は大学生まで、時には布団から起き上がれないほど生理痛が重かった。でも、医師に相談し、痛みや子宮内膜症のリスクが軽減されると聞き、ピルを使用するようになりました。そうしたら、辛い痛みも、経血で道着が汚れることや大事な試合に重なる心配もなくなり、競技に集中できるようになりました。
ピルも卵子凍結も、抱えている悩みを解決する方法の一つです。
私たちは不安に思うことがあっても、見ないふりをして、『苦しいのはみんな一緒かな』と思いがちです。でも、方法があるのに何も検討せず、『生理は痛いものだから仕方ない』『病気じゃないから我慢するしかない』と思い込み、全力で競技に取り組めなかったり、競技生活を諦めてしまったりするのはもったいない。
自分に医学的な知識がなくても、体の変化には気づけます。その変化を見逃さず、1個1個、不安をつぶしていくことで、全力で競技に取り組めるし、頑張れると思います」
■角田 夏実 / Natsumi Tsunoda
1992年8月6日生まれ。千葉県出身。八千代高-東京学芸大-了徳寺大学職員-SBC湘南美容クリニック。小学2年の時、父親の勧めで柔道を始める。東京学芸大3年時に全日本学生体重別選手権52キロ級を制覇。同大初の学生日本一になる。大学卒業後、巴投げや関節技を武器に台頭。2017年世界選手権では52キロ級で準優勝。同年48キロ級に転向すると、21~23年世界柔道選手権で3連覇を達成した。グランドスラムでは22~25年の48キロ級の4連覇を含め、通算5回優勝。初出場となった24年パリ五輪では、日本柔道史上最年長の31歳11か月で金メダルを獲得した。26年1月、競技引退を発表。現在、各種メディアやイベント出演、柔道教室などを通し、柔道を広める活動を中心に活躍する。
(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

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