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ママアスリートの先駆者 クレー射撃・中山由起枝が変えたい日本社会の理解度

中山の愛娘は今年、大学1年生になった【写真提供:日立建機】
中山の愛娘は今年、大学1年生になった【写真提供:日立建機】

一般社団法人MANの理事として、ママアスリートへの情報発信に尽力

 中山がママアスリートとして歩み始めた当時は、日本に子育てをしている女性アスリートはほとんどいなかった。「相談する人や情報を発信して下さる機関がなかったので、試行錯誤しました」と振り返るが、同時に「子育てと競技を両立していく苦しみや苦労はあまり考えず、自分たちに出せる色を出していけばいい」と芯をぶらさず、自然体を続けた。だが、もし当時、相談や協力できる場所があったら、どれほど心強かっただろうか。

「もちろん、そういう意味も込めてMANを一般社団法人化したという経緯もあります。まだまだ情報発信は不足している部分でもありますし、現役のママアスリートはもちろん、将来ママになっても競技を続けたいと思っている選手にも、私たちが何かお手伝いできることがあるかもしれない。そう思って発信している団体なので、ぜひ活用してもらいたいと思います」

 海外を転戦したり、海外の女性アスリートと交流したりする中で、子どもを持つ女性が競技を続けたり、仕事を続けたりするためには、日本の社会全体の理解が進む必要があると感じている。

「クレー射撃は特に生涯スポーツなので、女性アスリートが子どもを連れて海外を遠征する形を取る国が結構あるんですね。リオデジャネイロ五輪に出た選手は半数近くがママアスリートか既婚女性でした。結婚、出産後も競技が続けられる環境が整っていれば、女性の幸せも掴みやすいんじゃないかと思います。海外に比べると日本はまだ、アスリートママ、働くワークママが珍しいと見られている社会がある。競技をしながら周囲の方々の協力や理解を得ることが、社会認知に繋げるためにも必要なことだと考えています」  

 愛娘は今年、大学1年生になった。来年は成人を迎え、子育てもが一段落する。中山は、東京五輪を“集大成”と位置づけるが、ここまで決して順風満帆とはいかなかった。学校行事に参加できないことは日常茶飯事。「遠征で留守にしている時とか、子どもが怪我をしてしまった時とかが一番しんどかったです。近くにいてあげられないことが、こんなにも辛いものかという現実に、何度か競技を引退すべきか考えました」と胸の内を明かす。

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