ラグビー日本の外国選手にも伝える侍文化 「相手を殺すか、自分が死ぬか」稲垣啓太が説いたこと
ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会に出場中の日本代表は6日、8日の1次リーグ最終戦(ナント)となるアルゼンチン戦の登録メンバー23人を発表した。勝った方が決勝トーナメント(T)に進出する最終決戦。今大会全試合に先発するPR稲垣啓太は、負けられない一戦への覚悟を「相手を殺す時か、自分が死ぬか」と表現した。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
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ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会に出場中の日本代表は6日、8日の1次リーグ最終戦(ナント)となるアルゼンチン戦の登録メンバー23人を発表した。勝った方が決勝トーナメント(T)に進出する最終決戦。今大会全試合に先発するPR稲垣啓太は、負けられない一戦への覚悟を「相手を殺す時か、自分が死ぬか」と表現した。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
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海外出身の選手がいようが関係ない。ブレイブブロッサムズの全員が、侍魂を共有している。「刀を抜いた時はやるかやられるか。そこでしっかり刀を振って、相手を倒しに行こう」。稲垣はミーティングでこう伝えた背景を語った。
「日本人の昔の文化に倣ったものです。侍って、本当は刀を抜く時は厳しい状況だったんですね。刀を抜いたら相手を殺す時か、自分が死ぬか。その2択しかない状況。今のチーム状況はそれに似ていると思いました。勝たなければ次に進めない。まさしくそういう状況だと思います。
そういう状況の中で刀を振る準備をしてきたことに、全員が自信を持っている。逆に振らなければ自分たちはやられてしまう。姫野(和樹)キャプテンも刀を振るための準備を1年間、いや、今までずっと何年間もかけてやってきた。『刀をずっと研いできた。振るための準備を積み上げてきた』と自信を持って言っていました。今はその刀を振る時だと思っています」
笑わない男の眼光は鋭さを増す。むしろ侍に例えた方が、海外出身選手にとってはイメージしやすいのかもしれない。藤井雄一郎ナショナルチームディレクターが「外国人と日本人が一緒にやった時にどうやったら一番力が出るか、相手が嫌がるか。結束をつくってきた」という通り、稲垣のメッセージでチームの覚悟がさらに強くなった。
結束力の固さが如実に表れるのがスクラム。稲垣は長谷川慎コーチの下、8年かけて築き上げてきた。「(FW8人の)役割を明確にしてくれたスクラム。僕が持つ慎さんへの素直な想いですね」。足の位置、押す方向、相手との間合いなど、ポジションごとに各人が何をすべきか異なる。総重量が劣っても、これらが明確になることで世界の強豪と互角に張り合う武器になった。
「逆に言うと1人でもその役割を果たせなかったら同じ方向に進めない。そういったスクラムを8年間かけて構築してくれた。80分間かけてスクラムでプレッシャーをかける準備してきた。大事なのはマイボールを確実に供給して、BKにいい球を出すこと。または相手ボールに対してどういう形でプレッシャーをかけていくのか。1週間、その詳細を突き詰めてきた」