日本メダルラッシュで「未知のスポーツ」の認知度上昇 面白くないはずがない団体球技の「いいとこ取り」な魅力【パリ・パラリンピック】
団体球技の「いいとこ取り」で誕生…おもしろくないはずはない
パラの団体球技の歴史は古くない。車いすバスケットボールは第二次世界大戦後、傷痍軍人のリハビリのために始められたという。カナダで車いすラグビーが考案されたのも1977年。パラリンピックの競技になったのも2000年シドニー大会からだ。新しい競技だからこその魅力がある。
【特集】“欽ちゃん球団監督”片岡安祐美の今 2度の流産を経て母に…思春期の後悔「生理に見て見ぬふりを」(W-ANS ACADEMYへ)
コートの大きさはバスケットボールと同じ、バレーボールの5号球をもとに開発されたボールを使い、水球と同じ8分4ピリオドで争う。ペナルティーボックスへ「ぶちこまれる」退場ルールはアイスホッケーと同じだし、守備の戦術などはサッカーやハンドボールとも近い。そして、何よりも激しいタックルはラグビー。ボールは楕円ではないし、前にパスしてもいい。それでも「ラグビー」と呼ばれるのは「マーダーボール(殺人球技)」とも呼ばれる競技の激しさからだ。
既存の団体球技の「いいとこ取り」で誕生したのだから、おもしろくないはずはない。車いすバスケットボールなどと同じように選手の障がいを得点化して重度の選手も軽度の選手も活躍できる場を作り、さらに男女混合として女子にも同じチームで活躍する場を設けた。そこには、チームスポーツとしての「理想形」がある。
ダイジェストで放送されれば、池透暢主将、池崎大輔の「池池コンビ」や若きエース橋本勝也ら障がいの軽いハイポインターたちの得点シーンばかりが注目されたはず。ところが、1試合で見ると相手をブロックし、守備に貢献する障がいの重いローポインターの乗松聖矢や倉橋香衣らの活躍がよく分かる。コート上の4人が役割に応じて連動し、相手にプレッシャーをかけてボールを奪う守備には、美しい凄みがあった。