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アスリートは睡眠をどう管理すべきか 指導者、保護者も理解すべき「眠りの知識」

世界的にみても睡眠不足傾向がある日本人。それは、子どもたちにとっても例外ではない。特にスポーツをする子どもたちにとって、睡眠が発育やパフォーマンス、心の健康に及ぼす影響は大きい。指導者や親が持つべき正しい睡眠の知識について、米スタンフォード大学で睡眠研究を行う西野精治教授に聞いた。

「良質な睡眠」の取り方について語った西野精治教授【写真:小野瀬健二】
「良質な睡眠」の取り方について語った西野精治教授【写真:小野瀬健二】

米スタンフォード大で睡眠研究を行う西野精治教授インタビュー後編

 世界的にみても睡眠不足傾向がある日本人。それは、子どもたちにとっても例外ではない。特にスポーツをする子どもたちにとって、睡眠が発育やパフォーマンス、心の健康に及ぼす影響は大きい。指導者や親が持つべき正しい睡眠の知識について、米スタンフォード大学で睡眠研究を行う西野精治教授に聞いた。

 ◇ ◇ ◇

――夕食の後、就寝まで何時間くらい間隔をあけるのがベストなのでしょうか。

「一般的には3時間ぐらいと言われています。寝るときには胃や腸も休めるために、消化活動をしない状態を作る必要があります。日本人は多くありませんが、特に欧米では、逆流性食道炎の方が多いんです。横になったときに胃液が逆流してしまうのですが、横になる直前に脂っこくて消化が悪い食事をしていると起こりやすい。

 体温と睡眠の関係も理解しておくとよい知識だと思います。徹夜したとき、どんどん眠くなるけれど、太陽が出てきたら眠気が小さくなってくる経験があるのではないでしょうか。朝方には体温が上がるためです。最も眠気が強いのはだいたい夜中の3時頃で、一番体温が低い時間帯です。それぐらい体温は睡眠に影響を与える大事な要素です。

 基本的に身体の中の体温は昼間が高くて夜に低くなりますが、手足は逆。昼間が低くて夜が高い。赤ちゃんが眠くなると手足が熱くなりますよね、あれは体温は下がっている現象。手足から熱が放散して体温が下がるタイミングで寝ると寝つきが良く深い睡眠がでます。こういった体温の上下を考えて、就寝90分前の入浴を推奨しています」

――入浴がどのような仕組みで良い睡眠につながるのでしょうか?

「入浴を利用して体温を一時的に上げ、その後、お風呂に入らない時より下がるタイミングで入眠する方法です。実験データによると、40度のお風呂に20分入浴すると、体温が0.5度ぐらい上がります。そして上がった体温を下げるのに90分もかかる。これには私も驚きました。

 体温が元に戻った後、入浴する前より体温が下がります。そのタイミングで入眠すればうまく眠れるのです」

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