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「プレーする喜び」をいかに伝えるか 町クラブの試合で聞いたユニークな“叫び声”

普段フライブルクで指導者をしている僕にとって、他の地域の子供たちのサッカーを見るのはとても楽しい。それは同じドイツでも、それぞれの地域に、それぞれの特徴があるからだ。サッカー的にもダイナミックさを重視する地域があれば、技術を大切にする地域もある。でも共通して言えるのは、怒鳴り散らす指導者がいない、ということだ。

【連載コラム】ドイツ在住日本人コーチの「サッカーと子育て論」――U-10チームの試合で出会った子供たちの“叫び声”

 先日、日本から研修で渡独されていた指導者の方々と一緒に、ブンデスリーガ1部のレバークーゼンとホッフェンハイムの試合を観戦する機会があった。UEFAチャンピオンズリーグ(CL)常連クラブながら昨季は不振をかこったレバークーゼンと、一昨季のギリギリ残留から一転、昨シーズンは青年監督ユリアン・ナーゲルスマンの指導の下、CLプレーオフ出場権獲得となる4位に躍進したホッフェンハイムという、対照的な両チームの対決。試合は両者ともにまだ本調子ではないものの、お互いに見せ場を作り合い、結局2-2の引き分けで終わった。見どころの多い試合展開に加え、この日は32度と暑かったこともあり、よく冷えたビールがなんとも美味しかった。

 でも僕としてのハイライトはこの一戦ではなく、この試合前に見た子供たちのサッカーだった。レバークーゼンのホームスタジアム、ベイアレーナから徒歩10分ほどにあるVfLレバークーゼンという町クラブのグラウンドで行われていたU-10チームの試合だ。

 普段フライブルクで指導者をしている僕にとって、他の地域の子供たちのサッカーを見るのはとても楽しい。それは同じドイツでも、それぞれの地域に、それぞれの特徴があるからだ。サッカー的にもダイナミックさを重視する地域があれば、技術を大切にする地域もある。でも共通して言えるのは、怒鳴り散らす指導者がいない、ということだ。

 いない、は言い過ぎかもしれない。ドイツには僕がまだ足を運んだことのない地域もあるからだ。でもドイツに来て16年間、小学生年代でのサッカー現場で子供に喚き散らす大人を僕は見たことがない。

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中野 吉之伴

1977年生まれ。ドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。ドイツでの指導歴は20年以上。SCフライブルクU-15チームで研鑽を積み、現在は元ブンデスリーガクラブであるフライブルガーFCのU12監督と地元町クラブのSVホッホドルフU19監督を兼任する。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に『サッカー年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)、『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)がある。WEBマガジン「フッスバルラボ」主筆・運営。

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